みんなの外壁塗装ガイド
サイディングの補修方法|業者による補修の良し悪しもこれで分かる!
公開日:2018/12/21 / 最終更新日:2021/06/24
念願の一軒家を手に入れたら、美しい状態を長く維持したいと誰もが思うところですが、住まいの外観や耐久性は外壁の状態に大きく左右されます。
外壁の適切な補修とメンテナンスは、住まいの美観や耐久性を維持する上で重要です。
この記事では、サイディングの種類や特徴、想定されるトラブルや補修方法、自宅でできる補修方法やサイディングを長持ちさせるポイントを紹介します。
大切な資産である住まいのお手入れの参考になれば幸いです。
※以下に記載の価格は目安です
『サイディング』の種類と特徴
『サイディング』とはサイディングボードとも呼ばれ、外壁を覆って保護している板状の外壁材のことです。
サイディングにはいくつかの種類があり、以下の4つに分類されます。
- 窯業(ようぎょう)系サイディング
- 金属系サイディング
- 樹脂系サイディング
- 木質系サイディング
この章ではそれぞれのサイディングの特徴とメリット、デメリットを紹介します。
窯業系サイディング
窯業系サイディングの特徴
窯業系サイディングは、主原料のセメントに繊維状の原料を混ぜて型に流し、高熱処理で成型した外壁材です。
成型時に窯を利用するため「窯業系」と呼ばれます。
成形や塗装によるデザインが多彩で、他の外壁材に比べて比較的安価であることから、日本では木造住宅の8割以上で窯業系サイディングが採用されています。
窯業系サイディングのメリット
デザインが豊富&リーズナブルな製品から高級品まで選択肢が多い
成型や塗装により、多彩なデザインの製品が揃っている点が窯業系サイディングの魅力です。
リーズナブルな製品から高級品まで、予算に応じて選べます。
レンガやタイル貼りの外壁は高価ですが、窯業系サイディングなら同じようなデザインの外壁をよりリーズナブルに実現できます。
耐震性が高い
軽量で地震などで衝撃を受けても割れにくい特性があります。
大きな震災の際も、外壁が崩れた窯業系サイディングの住宅はほとんど見られなかった※と報告されています。
※新潟県中越地震被害調査報告書
耐火性能が高い
窯業系サイディングの主原料であるセメントは燃えない材質であるため、耐火性能が高い外壁材です。
1時間以上炎にさらされても燃えない性能を持つ製品もあります。
窯業系サイディングのデメリット
塗膜が劣化すると防水性能がなくなる
原材料のセメントには防水性がなく、塗膜が雨水を遮る機能を担っています。
塗膜の劣化を放置すると内部への浸水が始まり、雨漏りの原因となるため、定期的に塗り直しのメンテナンスが必要です。
定期的にシーリングの打ち替えが必要
窯業系サイディングのつなぎ目やサッシ・ドアの周囲は、シーリング剤ですき間を埋める工法がとられます。
このシーリングが劣化するとすき間から雨水が浸入するため、定期的な打ち替えが必要です。
シーリングの寿命は製品によって異なります。
最近の主流であるシリコン系のシーリング剤は10年程度の耐用年数がありますが、過去によく使用されていたアクリル系やウレタン系のシーリングの中には5年程度で打ち替えが必要となるものもあり、注意が必要です。
蓄熱性が高い
窯業系サイディングは赤外線の熱を蓄積しやすく、夏の暑さで外壁表面の温度が上がりやすい特性があります。
外壁の工法によっては、室内の温度が上がりやすくなってしまいます。
ヒビや割れが生じやすい部分に注意
窯業系サイディングは、外壁に取り付ける際に釘を打って固定しますが、地震などの際にこの釘の周囲にヒビや割れが生じることがあります。
また、サッシや窓の角部分も、建物の重量や地震などの圧力で歪み、ヒビや割れが生じやすい部分です。
凍害が起こりやすい
寒冷地ではサイディングにしみ込んだ水分が凍結・溶解を繰り返してひびや剥がれが生じやすくなります。
- 費用相場:3,000~10,000円/㎡
- 断熱性: 蓄熱性(熱を蓄えやすい)があり、厚みがないので断熱性能は高くない
- 耐久性:20~40年(適切なメンテナンスを行った場合。製品の厚みや塗装種類により異なる)
- メンテナンス:クリーニング・シーリング打ち替え・塗装・反りや割れの補修
金属系サイディング
引用:日新製鋼建材
金属系サイディングの特徴
金属の薄板を成型・塗装し裏に断熱材を貼った外壁材です。
一般住宅の場合、ガルバリウム鋼板※の金属系サイディングを用いるのが一般的です。
以前の金属系サイディングは模様や色が単調なのが難点でしたが、加工や塗装技術の向上によってデザインのバリエーションは増えています。
- 軽量で耐震性に優れている
- 耐熱性が高い
- 吸水しない材質なので凍害を受けない
などの特徴があります。
※ガルバリウム鋼板:アルミニウム55%、亜鉛43.4%、シリコン1.6%の合金でめっきをした鋼板。錆びにくく耐久性が高い
金属系サイディングのメリット
軽量で耐震性に優れる
重さが窯業系サイディングの約1/4と軽量です。
地震の際にも住宅に負担をかけず、耐震性に優れています。
防水性が高い
金属なので水分を吸水せず、防水性が高いです。
ヒビ・割れの心配がない
金属なのでヒビや割れのおそれがありません。
シーリング部分が少ない
施工時にシーリングを使用する部分が少ないため、打ち替えの補修が少なくて済みます。
既存の外壁に重ね張りできる
薄く軽量であるため、既存の外壁に重ね張りするカバー工法が可能です。
外壁材の張り替えは撤去費用や処分費用がかかるので高額になります。
しかし、カバー工法であれば新しい外壁材の費用だけで済むため、費用を抑えたリフォームができます。
金属系サイディングのデメリット
錆びやすい
金属系サイディングの最大の欠点はサビです。
表面に傷がつき、めっきされた鋼板が雨水に触れると、すぐに赤サビが発生します。
塗膜が劣化して防水性が低下するとサビが発生しやすくなるので注意が必要です。
他の金属に触れることでも「電食」という現象で簡単にサビが発生するので、金属製のものを外壁に立て掛けないよう注意しましょう。
デザイン性に劣る
近年では金属製サイディングでもデザインのバリエーションが増えたとはいえ、窯業系サイディングには及びません。
傷やへこみに注意
薄い金属板でできているため、硬いものをぶつけると傷がついたりへこんだりします。
- 費用相場:5,000~7,000円/㎡~
- 断熱性: 金属自体に断熱性はないが、断熱材と組み合わせることで高い断熱性能を実現
- 耐久性:30~40年(適切なメンテナンスを行っている場合。沿岸部では製品寿命がより短くなる)
- メンテナンス:クリーニング・塗装・シーリングの打ち替え
木質系サイディング
木質系サイディングの特徴
自然の木材を使った木質系サイディングは、工業製品にはない木の温もりを感じることができる外壁材です。
防火地域など火災への対策が求められる地域では利用できませんが、表面処理や施工方法によって防火制限のある地域でも利用可能な商品もあります。
木質系サイディングのメリット
自然の材料を生かした家づくりが可能
天然の木材ならではの趣を生かした個性的な家を実現できます。
断熱性が高い
断熱性が高く、外気や直射日光の熱を室内に伝えにくいので、夏の省エネ効果が期待できます。
木質系サイディングのデメリット
高価
窯業系サイディングに較べて高価であるため、施工費用がかかります。
品質にばらつきがある
工業製品ではないため、同じ等級の材木を用いても品質を完全に一定にはできません。
短いサイクルで塗装が必要
木材は劣化してくると割れや反り、腐食などのトラブルが生じます。
木質系サイディングをよい状態に保つためには、3~7年程度の短いサイクルで塗装をやり直す必要があるのです。
- 費用相場:6,000~27,000円/㎡
- 断熱性: 木材は熱を伝えづらいので断熱性は高い
- 耐久性:30~40年(適切なメンテナンスを行っている場合)
- メンテナンス:塗装・劣化した板の交換
樹脂系サイディング
樹脂系サイディングの特徴
耐久性の高い塩化ビニル樹脂製の外壁材です。
北米では50%のシェアがあるといわれていますが、日本での施工例はわずかです。
デザインや色のバリエーションは限られますが、メンテナンスがほぼ不要であるため、手間のかからない外壁にしたい方には最適です。
樹脂系サイディングのメリット
メンテナンスの手間が少ない
他のサイディングは、外壁材を保護している塗膜が劣化すると外壁材も劣化するため、定期的に塗り替えの補修を行う必要があります。
一方で樹脂系サイディングは素材自体が防水性、耐久性に優れており、顔料が素材自体に練り込まれていて色があせることもないため、塗り替えの必要がありません。
シーリングを使わずに施工できる
シーリングを使わない工法で施工するため、シーリングを打ち替える補修が不要です。
塩害や凍害のおそれがない
海の近くや寒冷地でも塩害や凍害を受けるおそれがありません。
軽量耐震性に優れる
窯業系サイディングの1/10程度と軽量なので、地震の際にも建物に負担が少ないです。
樹脂系サイディングのデメリット
デザインが単調
樹脂系サイディングには塗装をしないため、色や模様が単調でバリエーションも少ないです。
施工業者が少ない
施工実績が少ないため、樹脂系サイディングを取り扱っている業者が限られています。
- 費用相場:3,000~6,000円/㎡
- 断熱性: 単体では断熱性はないため断熱材との併用が必要
- 耐久性:30年~(メンテナンスはほぼ不要)
- メンテナンス:クリーニング
サイディングに起こるトラブルと補修方法
前章でサイディングの種類と特徴を紹介しましたが、どのサイディングでもきれいな外観を保つためには定期的なお手入れが必要です。
この章では、サイディングに起こるトラブルとその補修方法を紹介します。
コケ、藻、カビの繁殖
コケ、藻、カビのトラブルが起こるサイディングの種類
サイディング全般
症状
コケや藻、カビが繁殖すると、緑や黒色の汚れがサイディング表面に広がります。
原因
外壁に残るわずかな湿気や水分で、植物であるコケや藻、菌類であるカビが繁殖します。
以下のような条件ではコケや藻、カビが容易に繁殖します。
- 川や沼の近くなど、湿気が多い場所
- 風通しが悪く、日当たりが悪い場所
コケや藻、カビを放置するとどうなる?
家の美観が悪くなる
コケや藻、カビが生えた外壁は薄汚れた印象を与えます。
手入れが行き届いていない住宅は、「管理が甘そう」という点から泥棒や放火などの対象になりやすいともいわれているのです。
外壁の劣化が早まる
汚れの部分にさらに雨水や湿気がとどまり、外壁の劣化が早まります。
健康被害を及ぼすこともある
呼吸器疾患やアトピー性皮膚炎などの健康被害の原因ともなりえます。
補修方法
コケや藻、カビの抑制効果がある洗浄剤で洗浄しましょう。
汚れが軽度な場合や手が届く範囲の汚れであれば、DIYで洗浄することが可能です。
⇒自宅でできるサイディングの補修へ
塗膜の劣化
樹脂系サイディングを除くサイディングでは、雨や直射日光を防いでいる塗膜が劣化すると外壁材自体も劣化し深刻なトラブルにつながるため、塗り替え補修が重要です。
塗装の劣化が起こるサイディングの種類
窯業系サイディング/金属系サイディング/木質系サイディング
症状
色あせ
塗料に含まれている顔料が、紫外線の影響を受けて変色を始めています。
塗装の防水性能は失われていませんが、外壁の状態に注意が必要です。
チョーキング
塗料の主成分である樹脂が劣化し、顔料が剥き出しになった状態です。
外壁の表面を触るとチョークのような白い粉がつくため、「チョーキング」と呼ばれます。
チョーキングは塗装の劣化が始まっているサインのため、塗り替えを具体的に検討する時期です。
原因
塗料の主成分である樹脂は紫外線によって劣化します。
塗膜は傷や外壁材の割れ・欠けによっても剥げるのです。
塗膜の劣化を放置するとどうなる?
外壁塗装は、家の外観を美しく保っているだけではありません。
塗膜の厚みはわずか0.1mm程度ですが、外壁材の耐久性や防水性を維持する重要な役割を担っているのです。
塗膜の劣化を放置したために外壁材が劣化すると、塗り替えによる補修ではカバーしきれず、外壁材の交換などのより高額な補修が必要となります。
補修方法
専門業者による塗り替えが必要です。
30坪前後の平均的な戸建て住宅の外壁(150㎡前後)で70~120万円程度の工事費用になります(塗料のグレードによる)。
補修手順
サイディングの外壁塗装の流れの詳細は、
「そろそろ塗り替えたい、サイディング塗装のポイントと相場!」
をご参照ください。
シーリングの劣化
シーリングとは、サイディングの隙間を充填材で埋め、外壁の防水性を確保する作業です。
コーキングと呼ぶ業者もあります。
窯業系サイディングは外壁の基礎に貼りつけていく際に必ず継ぎ目ができるので、雨水を浸入させないためにパテ状のシーリングで継ぎ目の隙間を埋めています。
シーリング材の耐久性は製品により異なりますが、外壁塗装によってできた塗膜よりも早く劣化する場合があります。
そのため、外壁とともにシーリングの状態にも注意を払う必要があるのです。
シーリングの劣化が起こるサイディングの種類
窯業系サイディング/金属系サイディング(一部)
シーリングは主に窯業系サイディングで使用されますが、金属系サイディングでもサッシ回りなどにはシーリングが必要です。
原因
樹脂が主成分であるシーリング材は紫外線によって劣化が早まります。
また、地震によって外壁材が震動し、シーリングが剥がれるケースもあります。
症状
シーリングのヒビ
シーリングが経年劣化でもろくなります。
ヒビが進行するとすき間から雨水が浸入するため、早急に打ち替えが必要です。
欠落
シーリングの劣化が進み、剥がれたシーリングが継ぎ目から落ちる状態です。
すき間を埋める機能が完全に失われているため、剥がれた部分に雨水がかかれば容易に外壁内部に雨水が浸入します。
早急に打ち替えが必要です。
肉やせ
劣化現象のひとつで、シーリング材が目減りしている状態です。
放置すると剥離してしまいます。早急に打ち替えが必要です。
剥離
シーリングがサイディングから剥がれている状態です。
シーリングの劣化だけでなく、施工時の接着剤(プライマー)が不足していた可能性もあります。
早急に打ち替えが必要です。
シーリングの劣化を放置するとどうなる?
シーリングがなければ、継ぎ目から雨水が外壁内部に容易に浸入してしまうため、外壁の防水機能が損なわれます。
補修方法
シーリングの打ち替え:30坪前後の平均的な戸建て住宅の外壁(シーリング部の全長約180m全てを打ち替える場合)40万~50万円(足場代込)
シーリングは外壁の防水機能を維持するための重要な作業です。
専用の工具や材料が必要となる上、隙間が完全にふさげていなければ雨水が浸入し、雨漏りや外壁内部の腐食につながるため、DIYではなく専門業者に依頼することをおすすめします。
シーリング打ち替えの手順
シーリング(コーキング)の打ち替えの詳細は、
「コーキングのきれいな剥がし方とは? 正しい手順と注意点」
をご参照ください。
ヒビ、割れ
ヒビが入りやすいモルタル外壁ほどではありませんが、地震や経年劣化によってサイディングでもヒビが生じる場合があります。
ヒビ、割れが生じるサイディングの種類
窯業系サイディング/木質系サイディング/樹脂系サイディング
原因
サイディングが吸水・乾燥を繰り返すことによるもの
窯業系サイディングの下地や木質系サイディングは吸水性があります。
吸水による膨張と乾燥による収縮を繰り返すうちに次第に変形し、ヒビが生じる場合があります。
防水機能のある塗装によって下地は水分から遮断されていますが、以下のような理由から完全に水分を遮断することは困難です。
- 塗装されていないサイディングの裏側で発生した結露
- 防水機能がある塗膜の劣化
- 経年劣化による微細なヒビ
寒冷地では水分が凍って膨張することによるヒビ(凍害)が起こることも知られています。
地震による揺れ
地震で建物の基礎が大きく揺れると、サイディングが耐え切れずにヒビや割れが生じる場合があります。
地盤沈下
地盤沈下により建物の基礎に歪みが生じた場合にサイディングにヒビがは入ることがあります。
樹脂系サイディングのヒビや割れ
吸水性がなく、衝撃に強い樹脂系サイディングでは細かいヒビ割れは起きません。
しかし、故意に固いものをぶつけたり、台風や強風による飛来物がぶつかってヒビが入ったり割れたりする場合があります。
ただし、他のサイディングも固いものがぶつかればヒビや割れが生じたり破損したりしますので、台風や強風の後には外壁を確認するとよいでしょう。
症状
サイディングのヒビの多くは、外壁本体に固定している釘の周囲やサッシの周囲などに現れます。
外壁の点検の際には、これらの部分でヒビが生じていないか確認するとよいでしょう。
ヒビを放置するとどうなる?
ヒビが入った部分は塗装で保護されておらず、防水性が失われています。
ヒビに雨水が浸み込み、ヒビがさらに進行することとなるのです。
ヒビが深くなれば外壁内部に雨水が浸入し、雨漏りや基礎の腐食の原因となります。
補修方法
軽微なヒビであれば、自宅での補修も可能です。
⇒自宅でできるサイディングの補修へ
新築から長期間経過している場合は、目についたヒビ以外でも経年劣化が進行しているおそれがあるため、外壁全般の補修を専門業者に依頼することをおすすめします。
木質系サイディングや樹脂系サイディングの場合は、割れた部分のみ新しいサイディングに交換する補修を行います。
反り
反りが生じるサイディング
窯業系サイディング/木質系サイディング
原因
吸水性がある窯業系サイディングや木質系サイディングでは、吸水による膨張と乾燥による収縮を繰り返すうちに次第に変形し、反りが生じることがあります。
とくに古い窯業系サイディングで、厚みがより薄い(12ミリ)ものでは反りが生じやすいのです。
症状
サイディングが変形して継ぎ目部分で浮き、隙間ができている状態です。
反りを放置するとどうなる?
サイディングが反って浮いている部分は、隙間から雨水が浸入します。
雨漏りや外壁内部の腐食につながるので、早急に補修が必要な状態です。
補修方法
サイディングの一部張り替えを行います。
軽微な反りであれば、釘で固定し直すことで補修が可能な場合もありますが、反りが激しい場合にはサイディングの張り替えが必要です。
サイディングの張り替え手順
- 1.外壁の現状確認
- 反りの状態を確認し、釘による固定が難しければ張り替えの判断をします。
既存のサイディングが廃番になっている場合は似たようなサイディングを探し、張り替えをします。 - 2.足場の設置
- 2階部分の作業がある場合は、施工内容によっては安全確保のために足場を設置します。
- 3.サイディングを撤去
- 反ったサイディングを外して撤去します。
- 4.金具取り付け
- サイディングを取り付けるための金具を外壁に取り付けます。
- 5.サイディング取り付け
- 新しいサイディングを取り付けます。
- 6.シーリング
- マスキングテープで養生し、継ぎ目の底にハットジョイナー(シーリングが継ぎ目の底に付着しないように遮断する部材)を入れてからシーリング材で充填します。
シーリング材が硬化しないうちにマスキングテープを剥がします。
外壁内部に雨水が浸入するとどうなる?
サイディングに生じるトラブルの問題は、外壁の防水性が失われ、雨水が浸入することです。
では、外壁内部に雨水が浸入すると、どのような問題が生じるのでしょうか?
雨漏り
サイディングの下には防水シートが貼ってあるため、サイディングに問題があっても直ちに雨漏りに直結するとは限りません。
ただし、防水シートの継ぎ目やサッシ回りなどに雨水が浸入すると、防水シートでも雨水の浸入を防げません。
室内側の壁に雨がにじんだり垂れたりして雨漏りします。
カビの発生
外壁内部に雨水が入り込むと、風通しの良くない場所に水分が供給されることとなり、カビの原因となります。
防水シートの継ぎ目やサッシ回りなどを通じてカビは次第に外壁の下地や柱にも繁殖し、いずれは室内にもその影響が及ぶのです。
外壁の下地や柱の腐食
現在でも一般住宅の多くは木造ですが、これは家屋を構成する構造体(柱や外壁基礎など)が木材であることを意味します。
雨水の浸入によってカビや木材を腐敗させる菌が繁殖した状態が続くと、構造体の腐食が始まります。
柱や外壁の内部が腐食すれば、震災による倒壊のおそれもあるのです。
外壁内部は目に見えないため、雨水の浸入に気づくのは室内に雨漏りが始まってから…ということも少なくありません。
しかし、雨漏りが始まるまでに外壁内部のカビや腐食が進行してしまう場合もあります。
「少しくらい塗装がはげて見栄えが悪くなっても気にしない」
「多少隙間があっても大した問題はないはず」
と思わず、定期的な点検で外壁の状態を確認しましょう。
サイディングの塗料選定ポイント
サイディング塗装は、防水性や耐水性を維持する重要な工事です。
専門業者による塗装が一般的ですが、塗料選びのポイントを知っておくことで、後悔しない塗装を実現できます。
求める機能で塗料を選ぶ
塗料の色や質感は住まいの印象を左右します。
そのため、仕上がりの見た目だけでなく、立地条件や住まいに関するお悩みに応じて、塗料を選ぶことをおすすめします。
近年は塗料の開発が進み、耐久性が高いだけでなく、さまざまな付加価値を持つ塗料が流通しています。
- 夏の暑さ対策をしたい:遮熱塗料
- コケ、藻、カビが生えやすい:防汚性の高い塗料
- 耐久性の高い塗料:無機塗料、フッ素塗料、ラジカル塗料
- 定期的に新しく塗り替えるので塗料の安さを求める:シリコン塗料
- 今あるサイディングの柄を生かして塗装したい:クリアー塗料
クリアー塗料は透明なため、塗装面がきれいな状態でなければ使用することができません。
外壁表面のヒビや色あせなどの劣化が始まらないうちに、塗装を行う必要がある点に注意してください。
塗料の耐久性は種類によって異なる
できるだけ塗装のコストを抑えたいところですが、安価な塗料は耐久年数が短い点に注意が必要です。
住まいの補修計画次第で、塗料の値段が高くてもトータルの補修費用は安くなる場合もあるので、よく検討しましょう。
塗料 | 耐久年数 | 費用 |
アクリル | 5~6年 | 約50万円 |
ウレタン | 7~10年 | 約60万円 |
シリコン | 10~13年 | 70~80万円 |
ラジカル | 12~15年 | 80万円 |
フッ素 | 15~20年 | 90~100万円 |
無機 | 20~25年 | 90~110万円 |
光触媒 | 20年 | 90~100万円 |
※費用相場は30坪前後の平均的な戸建て住宅の外壁(150㎡前後)の場合(足場代等含む) | ||
※耐久年数、費用はあくまでも目安です |
塗料の種類の詳細は、
「塗料の種類はこんなにある!業者に依存しない賢い選び方」
をご参照ください。
実績がある塗料メーカーの製品を選ぶ
国内外の塗料メーカーが販売する塗料は膨大な数ですが、同じグレードの塗料であれば、以下の理由から国内大手メーカーの製品を選ぶのも方法の一つです。
- 施工実績が多く、塗装業者が塗料の性能や特徴を把握している
- 不具合が生じたときに塗料メーカーが存在せず責任を追求できない、ということがない
- 口コミで評価を探ることができる
もちろん、必ずしも「売れているから良い塗料」とは限りません。
外壁の施工事例
こちらはサイディング塗装のいえふくの施工事例です。
皆さまの住まいの塗装の参考にしてください。
引用:おしゃれな石目調のサイディング外壁の塗装事例(神奈川県茅ヶ崎市)
自宅でできるサイディングの補修
サイディングの補修には高度な技術が求められる上、足場がないと安全に作業ができない場所が含まれるため、専門業者に依頼することが原則となります。
とはいえ、自分でできる補修はDIYでリーズナブルにやりたいものですね。
比較的安全にDIYを行えるサイディングの補修は
- コケや藻、カビの除去
- 小さなヒビの補修
程度と考えましょう。
コケや藻、カビの除去
用意するもの
柔らかいスポンジやブラシ
固い材質のものは、サイディングの塗装を損なって劣化を早める恐れがあります。
洗車用のスポンジやブラシであれば、サイディングに傷をつける心配がありません。
スプレーボトル
コケ、藻、カビ取り剤の散布に使用します。
長い柄のブラシやスポンジ
手が届かない部分の洗浄に必要です。
コケ、藻、カビ取り剤
コケや藻、カビは洗剤では落ちづらい上にすぐに繁殖するため、専用のコケ、藻、カビ取り剤を使用します。
引用:アルタン30セカンズ ワンステップ・スプレー・クリーナー
手順
- 1.外壁を水で流し、ブラシやスポンジで洗う
- 汚れがついているとコケや藻、カビの繁殖につながるので、あわせて洗浄した方がよいでしょう。
土ほこりなどは散水するだけでも大部分を洗い流すことができます。 - 2.コケ、藻、カビ取り剤の塗布
- 洗剤をスプレーボトルに入れて汚れに吹き付けるか、モップやスポンジを使ってサイディングに塗りつけます。
- 専用のコケ、藻、カビ取り剤は、汚れに塗布するだけで除去効果があるとされています。
しかし、DIYでもきれいにならない場合は専門業者への依頼も検討しましょう。
はしごなどを使って高所で無理な作業をすることは避けてください。 - 外壁洗浄に家庭用の高圧洗浄機を使用したいところですが、水圧によってはサイディングの塗装を痛めたり、金属サイディングが凹んだりするおそれがあります。
高圧洗浄機は使用しない方が望ましいでしょう。
小さなヒビの補修
ヒビの補修は、シーリング材を密着させるためにカッターを使ってヒビを削る作業もあり、難度が高いDIYです。
ただし、幅0.3mm程度の微細なヒビであれば、雨水で濡れてさらにヒビが大きくなるのを防ぐ応急処置としてDIYを試みてもいいでしょう。
幅1mmを超えるヒビは、亀裂が奥まで進行しているおそれがあり、専門業者に補修を依頼するのが確実です。
用意するもの
カッター
ヒビを削り、シーリング材が密着しやすくするために使用します。
ブラシ
歯ブラシなど。汚れていないきれいなものを使ってください。
プライマー
シーリング材をサイディングにくっつける接着剤です。
シーリング材
ヒビを埋める充填材です。
材質にはいくつかの種類がありますが、シリコン系のシーリング材は外壁には向きません。
誤って使用すると、塗り替えの際に塗装をはじいてしまう場合があるので使用しないでください。
マスキングテープ
ヒビの周囲にシーリング材が付着しないように保護するテープです。
ヘラ
シーリング材を充填した後、きれいにならすのに使用します。
刷毛
シーリング材を塗布する時と、シーリングの上から塗装する際に使用します。
塗料
シーリングした箇所が目立たないように塗装する場合に使用します。
既存の外壁と似た色を選びますが、近い色がない場合には2色を混ぜることで近い色を出せる場合があります。
プライマー、シーリング材、塗料は、サイディングメーカーに適合する商品を確認するのが確実です。
作業手順
- ① カッターでヒビをV字カットする
- ヒビにそのままシーリング材を充填しても、奥まで行き渡りにくいため、カッターで幅3~7mm、深さ3~7mmのV字の溝になるようにカットします。
- ②ブラシで清掃する
- 溝についた汚れや削りくずをブラシで清掃します。
- ③養生
- 溝の左右にマスキングテープを貼り、シーリング材がはみ出さないように保護します。
- ④プライマーを塗布する
- 刷毛を使い、プライマーを溝の側面にしっかり塗りつけます。
- ⑤シーリング材の充填
- シーリング材を隙間ができないように溝に充填し、ヘラで表面をならします。
シーリング材が硬化する前にマスキングテープを剥がします。 - ⑥シーリング材の上から塗装
- 常温で40分程度乾燥させた後、必要であれば上から似た色で塗装をします。
ヒビの補修には材料や工具をそろえる必要がありますが、ヒビに充填するシーリング材の量はごくわずかです。
ヒビが手の届く場所にあれば、専門業者に依頼した方が材料に無駄が出ず、補修費用もそれほど掛からないこともあります。
ヒビの補修は専門業者に見積もりをお願いして、DIYの手間や費用とあわせて検討するとよいでしょう。
サイディングを長持ちさせる秘訣
補修が必要となるサイディングのトラブルや補修方法をご紹介しましたが、できれば補修の必要がない状態を保ちたいものですね。
この章では、サイディングを長持ちさせるためのポイントをご紹介します。
定期点検を欠かさず行う
玄関から出れば必ず目に入る外壁ですが、意識して見る機会は少ないものです。
そのため、住人が異常に気づいたときには外壁内部への雨水の浸入や腐食が進んでいた例も珍しくありません。
以下のように点検のタイミングを決めておけば、不具合のごく初期に気づき、大きなトラブルになる前に対処できます。
- 大掃除の時など年に1回は、サイディングの不具合が起こりやすい箇所を確認する
- 台風や強風の後は、異常がないか注意してサイディングを見て回る
- 新築後5年、10年といった節目には専門業者によるサイディングの点検を行う
清掃を定期的に行う
サイディングの汚れを放置すると塗膜の劣化を早め、サイディングの寿命を縮めることになります。
定期点検と同じタイミングで専門業者による清掃を行うと、外壁の美観を維持し、塗装を長持ちさせることにもつながります。
以下の洗浄方法は、専門業者でなければ難しいので、点検時に専門業者に依頼することをおすすめします。
- DIYでは水圧の調整が難しい高圧洗浄
- 専用の薬剤で徹底的にコケや藻、カビを落とすバイオ洗浄
雨樋の清掃や細かな補修も、定期点検と清掃のタイミングで専門業者に依頼すると、効率的にメンテナンスを行えます。
塗装のリフォームは早めに着手する
立地条件によっては塗料の耐用年数が短くなる場合があります。
外壁の防水性や耐久性を維持するためにも、塗り替えの補修は塗膜の劣化がひどくなる前に実施することが重要です。
まとめ
サイディングには4つの種類があること、サイディングに起こる不具合とその対処方法をまとめました。
住まいを雨や直射日光から守っているサイディングに目を向け、適切な補修を行うことで大切な資産である住宅を維持していただきたいと思います。
サイディングの塗装をご検討の場合は、ぜひいえふくにご相談ください。
実績豊富な施工業者が、心をこめて皆さまの住まいを守るお手伝いをします。