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みんなの外壁塗装ガイド

【外壁塗装をDIY】還暦記念、古希記念の奮闘記 第四話

塗装前の養生作業とメンテナンス

養生のやり方

足場をかけたのは6月27日、塗装前の養生作業を開始したのが同月29日。
養生作業とは、塗装しない部分を何かで覆ってペンキの付着を防ぐ作業を意味します。
例えば、壁以外の窓や雨戸、玄関ドア、勝手口ドア、バルコニーデッキ、一階の屋根などは、ペンキが付着してはならない部分です。

養生シートとは、サランラップを薄くしたような半透明のビニールです。
私が買った養生シートは、大きめのマスキングテープに折り畳まれ巻かれているものでした。

養生シートを広げて、養生部分を覆い隠します。
我が家の場合も、家の窓や雨戸の開口部、一階の屋根などを養生しました。
家の大きさの割には窓が多いので、養生面積は決して小さいものではありませんでした。
しかも、雨戸の一部は建てられた当時の木製の鏡板のままだったのです。

壁を塗り終えた時点で、雨戸の養生を剥がします。
雨戸の鏡板自体を塗装するために、雨戸の周囲の壁を養生しなければなりません。
そうしないと、鏡板を塗れないのです。
つまり、塗る部分と塗らない部分との後先で、養生を交互にしなければならない作業となり、大変に面倒なのです。

しかし、それでも養生をしっかりとやらないと、壁と雨戸の接合ラインの仕上げや、壁と一階屋根などの接合ラインの仕上げの悪さが、いかにも素人の仕事になってしまいます。
塗る部分と塗る色とで、それら別々の箇所の境がきっちり揃っていないと、見苦しい仕上がりとなってしまうのです。
養生作業を終えるのに、ほぼ一日かかりました。

メンテナンスの進め方

つづいて、塗装前のメンテナンスです。
足場に立って家の外壁の状況を調べると、下からは見えなかった、思わず目をしかめたくなる多くの損傷部分が見えてきました。

まず壁のクラックです。
我が家は築年数の割にはクラックが少ない方でした。
しかし、それでも数本の目立つクラックが走っています。
中にはこれ以上放っておくと、間もなく雨水の侵入が予想される、長くて深いものもありました。

窓に下に入ったクラックの写真
窓に下に入ったクラック

窓の上に入ったクラック 約1メートル大の写真
窓の上に入ったクラック 約1メートル大

東日本大震災の大揺れやその後の幾多の余震の影響も多分に受けたことでしょう。
そこはコーキングしなければなりません。

さらに驚いたのは、空調機のホースを室外機から室内機につなぐためのパテ部分のひび割れでした。
幅5ミリくらいの幅で、7~8センチほどの長さで割れており、そこからは壁内に雨が入っていたに相違ありません。
それが2か所もありました。
しかも下からは全く見えない状況となっていたのです。
そんな外壁の状況を目のあたりにして慌てましたが、しっかりとパテで埋めました。

他にも、家の南面、切妻屋根の飾り破風の劣化が見つかりました。
破風は木製で極めて劣化しておりました。
その軒裏部分は薄い防水ベニヤ製ですが、今にも破れて剥がれそうなっていたのです。
それらも下からは明確に見えていなかった部分でした。
そのため、破風の補修は塗装前のちょっとした大工仕事となりました。

腐り始めていた飾り破風の写真
腐り始めていた飾り破風

中も少し痛み始めていた飾り破風の写真
中も少し痛み始めていた飾り破風

やむを得ず、ホームセンターで必要な板を仕入れて、加工しつつ修理しました。
少し手間と時間がかかりましたが、そのままにしておくことはできません。

以上のメンテナンスは、非常に細かな作業ですが、大事な仕事です。
外壁塗装よりも大事と言うと語弊がありますが、それに匹敵する肝要な部分です。
それらをなおざりにするなら、たちまち雨が建物内に舞い込み、家を腐らせます。
心を込めて入念にメンテナンスを行いました。
やり終えるとホッとした気分になりました。

縦樋の止め釘の写真
縦樋の止め釘が外壁から外れている。雨水の侵入により、通し柱に影響の及ぶ恐れ

塗装前の洗浄作業と命綱

外壁の洗浄

塗装前に外壁を洗浄するのは、とても大切なのです。
壁に着いたホコリやゴミ、以前の古い塗料などをそのままにしたまま上塗りすると、新たな塗料が壁に密着せず、塗装の意味がなくなるからです。

外壁の汚れを全部落としてからでないと、良い仕上がりは望めません。
例えるなら、いくら今目覚めたばかりのすっぴん美人でも、まずは顔を石けんでしっかり洗わないことには、化粧の乗りが悪くなるのと同じです。
ましてや、築38年の年増住宅にとって、ヒビやシミ、しわ、クラックなどを考えるなら、外壁の洗浄は当然のことです。

洗浄作業は、本来なら高圧洗浄機を使わなければならないのですが、そこは素人。
便利でもそんな洗浄機は持ち合わせていませんし、10年に1度使うくらいのものは買う気にもなれません。
レンタルがあるとも聞きましたが、面倒だとばかりに、前回の塗装と同様に洗車ブラシを使って洗うこととなりました。

自分では、洗車ブラシでの洗浄が大きな間違いを犯しているとは思えないのです。
車を洗う場合などは、洗車機より人の手によるブラシでの洗う方が、むしろ丁寧で贅沢な洗い方だと捉えられているからです。
事実私も面倒な時は、車洗いを洗車機で済ませています。
しかし、気が乗ったときやちょっと気の利いたドライブ旅行に出かけるときなどは、丁寧な手洗いを実行しています。
その方が足回りの洗い残しもなく、本当にきれいに仕上がり、安全運転を心がけることの心構えにもなるからです。

しかし、もちろん塗装の専門業者がそうであってはなりません。
手洗いだと人件費がかかる上に非効率的で、専門家の仕事としてはあまりスマートには見えません。
洗浄機から勢いよく飛び出す水勢を、これ見よがしに依頼主に見せつけることで、いかにもプロっぽいかっこ良さをある程度は印象付けなければならないと思います。

そんなわけで、左手に長く伸ばしたホースを持ち、右手に洗車ブラシを持って足場の最上の3段目へと上がってゆきました。
さあこれから洗浄が始まります。

命綱がないと作業をしてはいけません

ところがここで一つ、とても大事なことがあります。
私自身が編み出した、というよりも建築業者や職人なら、ごく当たり前のことなのです。

それは「何の作業を行うにしても、まずは手始めの作業として腰に命綱をかけなければならないこと。
それこそが最初の仕事であり、それがなされていなければ、作業は絶対に行わない」鉄則を自らに課したのでした。
安全のため、そうした覚悟を自分自身に強く言い聞かせることとなったのです。

すでに上述したように、私はかなりの高所恐怖症で、未だ飛行機さえ乗ったことがないほどの小心者です。
足場は3段目で7~8メートル程度の高さしかないですが、万が一の場合ではケガや事故死につながる現実味のある高さです。

したがって、事故を防止できるものこそ、他ならぬこの命綱であると強く認識して、そのことを決意しました。
「とにかく、命綱をまずセットしなければ、その後の仕事は一切やらない!やってはいけない!」と決めたのです。

命綱で宙吊りになった時の様子の写真
第一回目の塗装の時に2段目の足場から落下し、命綱で宙吊りになった時の様子(再現)

洗浄を始めると、水は私の顔や体に容赦なくかかります。
業者さんならカッパなどを着て行いますが、私の場合は自分の身体が汗でぬれるよりは水でぬれるほうがまだ気持ちがよいとして、カッパは着けません。
着けるのは体の前面の防水性のある前掛けくらいです。
当然水にはぬれますが、夏の暑さと作業でほてった体には、それがまたとても気持ちよいのです。

平面の壁は、見た目には殆ど汚れてはいません。
普段、壁は自然の風雨にさらされていますから、風雨が洗浄の役目を果たしていてくれたようです。

ですから、汚れているのは主に雨のかからない軒下の数十センチの壁回り、出窓の屋根、雨の跳ね返りがかかりやすい一階の基礎部分付近の壁辺りが目立つ程度となっています。

しかし、外壁には目には見えない汚れがあるので、力を込めてブラシでこすりながら洗います。
すると、古い塗料が水で洗われて乳白色の水となり、その滴が下へ流れ落ちてゆくのが分かります。これが洗浄の効果なのです。

洗浄前の外壁が乾いているときに外壁を指でこすると、劣化した塗料の粉が手に付きます。
それを「チョーク現象」といいます。まさに、その塗料の流れ落ちは、防水性を失った古い塗料を除去する作業なのです。

洗車ブラシでの洗浄は、効率がよくなく、壁面を部分的に見落として洗浄していることになりがちです。
ですから、汚れの見落としを最小限に留めるために、足場のパイプで壁の区画を目測で区切って、その範囲内で洗い残しがないように注意しながら、順次洗っていくのです。

すると、腕は痛くなり、不自然な姿勢から首、肩、上体、足などほぼ全身が疲れてだるくなったりしますが、それは当然です。
負けてはいられません。
仕事は今、始まったばかりなのです。
先は長い、これくらいでへこたれるな、と自分に言いかせ励ましながら、老骨に鞭打つのでした。

休息を取ることの大切さ

外壁塗装を始めるにあたって、その命綱のほかに、もう一つ自分に言い聞かせたことがあります。それは、「2時間働いたら、最低でも休憩時間を30分以上取る」ということでした。
これも命綱と同じで、建築業者や職人さんにとっては極めて当たり前のこととなっています。
それは、どこの建築現場でもよく見かける決まり切った休息の光景で、必ず午前に1回と午後に1、2回程度は、職人さんたちが手を休めて座り込み、タバコを吸ったりお茶を飲んだりして雑談する風景です。

上記のような休憩時間を設けたのは、外壁塗装が2,3日程度で終わるような短い仕事でなく、1か月以上はかかる長丁場になることの予想からでした。
最初から自分ではっきりそのように決めておかないと、後々が長続きしないと思ったからでもあります。
そして、まさしくそのことはその通りとなったのです。

私は休憩場所を1階の8畳大のリビングに設定しました。
そこに、4畳大くらいのブルーシートを敷き、寝そべることにしたのです。
ブルーシートにしたのは、体が汗やホコリや塗料でかなり汚れているからです。
体が汚れたままでも、シートの上であればフローリングを汚すことがないです。
シートの汚れが気になれば、シートを洗えば済むことだからです。

そして、水やお茶などの飲み物と飴やお菓子などの甘いものを置いておきました。
妻が気を利かせて買ってきてくれたおやつ類です。
体質的にアルコールに弱く、甘いものが大好きな私にとっては、その休憩が何よりも楽しみとなりました。

さらに、寝そべった時に聴くCDのために、ラジカセを枕元に置くことにしました。
11年前の外壁塗装時は「石原裕次郎全集」のCDでしたが、今回は「三橋美智也全集」のCDでした。
なんと古臭い歌手と唄をと思われるでしょうか。
確かに、彼はすでに物故者であり、ひと昔前の歌手です。
72歳になった私のそれ以前の親父たちの世代のスターとなっています。

石原裕次郎と三橋美智也のCDの写真
第一回目塗装時の「石原裕次郎」のCDと、今回の「三橋美智也」のCD

彼が全盛の頃は私が15歳くらいでしたが、その頃はまだテレビは一般化されておらず、ラジオが主流の日本でした。
そこから流れてくる彼の極めて美しい歌謡曲を、家族でいつも聴いていました。
当時の私には、子ども心に「なんて歌がうまいんだろう」と感動しました。
また彼は元々が民謡歌手でしたから、「なんという高音で、節回しのうまい名調子なのだろう」と感心し、小学生ながらもその大人の歌謡曲をいつの間にか覚えて唄っていました。

三橋美智也は裕次郎より少し前の世代のスターで、裕次郎と同じく数多くのヒットを連発させていた国民的大スターの歌手でもありました。
当時は、2016年に大ヒットしたアニメ映画「君の名は」の元祖となったラジオドラマ「君の名は」が、時代に先駆けて大ヒットしていた頃だったのです。

その歌手のCDなら、必ず私を癒してくれるに違いないと考えて、今回の作業のために入手したものでした。まさに期待通りの結果となりました。
休憩時に、その名曲の数々を聴いていると、今は亡き私の父と母のことが自然と思い出されたからでした。

両親が若かった頃の時代背景は、太平洋戦争の真っ最中でしたから、二人は戦中また戦後にかけて相当に苦しい思いを強いられた世代だったのです。
特に、終戦直後の何年間は日本中が貧しくて、父も母も例外なく苦労の連続でした。
たまにラジオから流れ聞こえてくる三橋美智也の歌声に、どんなにか癒されまた慰められたことでしょう。
父母は鼻歌でよくそのメロデイを口ずさんでいました。

ですから、私が休憩時に、ブルーシートに寝転んでラジカセからその歌声が流れてくるのを聞いていると、その時の父や母の苦労していた面影が浮かんでくるのです。
仰向けに寝ている私の目からは、いつの間にか涙がとめどなく頬を伝わり落ちていました。
涙が出ると同時に鼻も詰まって息苦しくなるのですが、ティッシュでいくら拭っても溢れ出るその涙を止めることはできませんでした。

ところが、その涙は体の疲れもぬぐい去り、私を癒してくれるという、実に巧妙な仕掛けと効果があることに気付かされました。

そうして涙を流すことによって、その後は心も体もすっきりとした疲れも取れた感覚を実感できたのです。

すると、その後は力を得ることができて、再び高所の壁に向かうことができたのです。
本当に的確なCDを選んだ結果となったのでした。

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