みんなの外壁塗装ガイド
防水塗装とは?必要な理由と時期、場所別の防水方法を解説!
公開日:2021/01/28 / 最終更新日:2021/07/01
マイホームを買ってから10年・20年と経つと、家のメンテナンスの不安や悩みが出てきますよね。
「防水塗装って聞いたことあるけど、我が家のベランダや外壁にも、防水塗装が必要?」といったことも、代表的な悩みの1つです。
このコラムでは、
「そもそも防水塗装って何?」
「マイホームのメンテナンスに必要な防水工事・塗装工事って?」
といった疑問にお答えします。
防水工事・塗装工事のタイミングや費用の目安も解説しているので、戸建て住宅のメンテナンスにお悩みの方は、ぜひ参考にしてみてください。
防水塗装とは?防水工事との関係や必要な理由
「防水塗装とは何なのか」や、「防水塗装・防水工事・塗装工事」の関係、家に防水と塗装が必要な理由を解説します。
防水塗装は正式名称ではない
実は、「防水塗装」は正式名称ではありません。
「防水工事」と「塗装工事」の2つが混同され、「防水塗装」という言葉が広まっているのです。
防水工事は、主に、ベランダ・バルコニー・屋上で防水のために行う工事を指します。
防水剤や防水シートを重ね合わせた「防水層」と呼ばれるもので床の表面をおおい、雨漏りを防ぐ工事です。
塗装工事は、屋根や外壁、ベランダやバルコニーの床を塗装する工事です。
家の外観をいろどるのはもちろん、表面を塗料でおおって紫外線や水のダメージから保護することで、外壁や屋根の状態を良好に保つ役割があります。
ベランダやバルコニーの床は、防水層のうえから塗装をされていることが多いです。
防水層を塗料でコーティングすることで、防水層が雨や紫外線のダメージを受けにくくなる効果があるのです。
なお、「防水塗装」と同じように、「防水塗料」も正確な名称ではありません。
防水性や弾力性が高い「弾性塗料」や、防水層の上から塗るタイプの塗料を指すことが多いようです。
家に防水が必要な理
防水が不十分で家の内部に水が入ってくると、下記のようなトラブルが起こりえます。
- 雨漏り
- 木部の腐食
- シロアリの発生
- カビや菌の発生
日本の戸建て住宅は、骨組みが木でできていることがほとんどです。
外壁や屋根の内部に水気が入り、骨組みの木が水で腐食して弱ると、耐震性や耐久性が下がります。
湿った木はシロアリの大好物なので、シロアリが発生するリスクも。
シロアリは木の内部を食べるので、駆除が遅れてシロアリの被害が広がると骨組みがスカスカになり、木が腐食した場合と同じく、耐震性や耐久性に問題が出てきます。
このように家の骨組みが水気やシロアリで大きなダメージを受けると、大がかりな補修工事が必要になったり、建て替え/解体の時期が早まったりする恐れがあるでしょう。
建物内部に入り込んだ水が原因で家の内部にカビや菌が増え、家に住む人に健康被害が出る可能性もあります。カビや菌は、感染症やアレルギー症状を引き起こすケースがあることが知られています。
このようなことを防ぐため、外壁や屋根、ベランダなど、住宅の各箇所に水を防ぐ工夫が施されているのです。
家に塗装が必要な理由
定期的な塗装工事は、家を長持ちさせたり、住宅の防水機能を維持したりするのに必要です。
外壁や屋根、ベランダ/バルコニーの床に塗装をしないと、建材・防水層が紫外線や風雨のダメージを直接受けることになり、劣化スピードが速くなります。
最近の戸建て住宅で主流のサイディング外壁やモルタル外壁、スレート屋根は、水で傷む建材なので、塗料でコーティングすることで水のダメージから守ることが必須なのです。
ベランダ/バルコニーの床の防水層も、多くの場合、表面の塗り替えを定期的に実施することで長持ちさせることができるようになっています。
ベランダ・バルコニー・屋上の防水方法
ベランダ・バルコニー・屋上は、傾斜がないため屋根や外壁のように雨水が自然に流れていかず、雨漏りしやすい箇所の1つ。
家を建てる時点で、これらの場所には防水工事が施工されます。
防水工事で主な工法は、次の4種類です。
材料が乾燥して固まると、弾力のある防水層ができます。
木造住宅のベランダ・バルコニーで最もメジャーな工法です。
ウレタン防水工法とFRP防水工法は、防水層を保護する目的で「トップコート」と呼ばれる塗料が上から塗られています。
このトップコートを定期的に塗りかえることで、防水層が塗料で保護されている状態を維持し、防水層の劣化を防ぐことが可能です。
ベランダ・バルコニーの防水について、工法ごとのメリットやデメリット、費用などを知りたい方は、こちらのコラムをご確認ください。
外壁の防水方法
外壁の防水で重要な役割を果たしているのは、「外壁材」「塗装」「コーキング」「防水シート」の4つです。
外壁材と塗装
外壁は、さまざまな建材を重ね合わせてできています。
これらの建材のうち、1番外側に設置されていて、屋外に面しているのが外壁材です。
外壁にあたった雨のほとんどは、外壁材の表面を流れ落ち、外壁の内部には入りません。
ただし、外壁材が傷んでひび割れや欠けができると、そこから外壁材の内側にまで雨水や湿気が入り込むリスクが出てきます。
このようなことができるだけ起こらないように実施するのが、塗装です。
外壁材の表面を塗料でコーティングすること、つまり外壁の塗装で、外壁材が雨や湿気、紫外線で傷むのを防ぎます。
塗装は時間が経つにつれて機能が落ちてくるので、定期的に塗り替えを実施することで、塗装の機能を保ち、外壁材が傷みにくい状態を維持することができます。
塗り替え(塗装工事)のタイミングは、この後で解説します。
コーキング
コーキングは、建材同士のすき間を埋めたり、建材にできたひび割れを埋めたりする目的で、幅広く使われている建材です。
パネル(板)型の建材「サイディングボード」をつなぎ合わせているサイディング外壁は、サイディングボード同士のつなぎ目がコーキングで埋められています。
コーキングでつなぎ目を埋めることで、つなぎ目のすき間から浸水が起きるのを防いでいるのです。
コーキングは耐用年数が5~10年となっており、古くなるとひび割れや欠けが起きてきます。このため、コーキングを交換する工事(「打ち替え」と呼ばれます)を定期的に実施する必要があります。
コーキングの打ち替えは、塗装工事と合わせて施工することが多いです。
防水シート
防水シートは、外壁材の内側に入ってきてしまった水分が、木の骨組みの部分にまで浸水しないよう、外壁の内部に設置されているものです。
外壁にひび割れができていたり、コーキングがぼろぼろになっていたりしても、防水シートがあるので、雨漏りや木部の腐食の心配がすぐに出てくるわけではありません。
ただし、外壁やコーキングの破損を長期間放っておくと、その下の防水シートが風雨や紫外線のダメージを受けやすくなり、将来的には防水シートに傷みが生じるリスクが出てきます。
防水シートが傷めば、雨漏りや木部の腐食が起こる恐れも出てくるでしょう。
屋根の防水方法
屋根の防水は、外壁の防水と似ています。
外壁と同じく、さまざまな建材が重ね合わさってできており、それぞれの建材が役割を果たすことで、防水の仕組みが成り立っています。
屋根の防水でとくに大きな役割を担っているのが、「屋根材」「塗装」「ルーフィング」です。
屋根材と塗装
屋根を構成する建材のうち、1番外側に設置されていて、屋外に面しているのが屋根材です。
屋根にあたった雨の多くは、屋根材の表面を流れ落ち、雨どいを通って排水されていきます。
屋根材が割れたり欠けたりすると、そこから屋根材の内側にまで雨水が入り込むリスクが出てきます。
このようなことができるだけ起こらないよう、屋根材の表面を塗料のコーティングで保護し、割れや欠けができるだけ起こらないようにするのが塗装です。
ただし、塗装の必要性の有無は屋根材の種類によって異なります。
最近主流のスレート屋根は、メンテナンスのため定期的な塗装が必要な屋根材です。
昔ながらの日本瓦は、塗装の必要はありません。
ルーフィング
ルーフィングは、屋根材の下に敷かれていて、住宅内部の木部にまで雨水が浸水しないようにするシートです。
屋根材に割れや欠けができていても、ルーフィングがあるので、雨漏りや木部の腐食の心配がすぐに出てくるわけではありません。
ただし、屋根材の破損を長期間放っておくと、その下のルーフィングが風雨や紫外線のダメージを受けやすくなり、将来的にはルーフィングに傷みが生じるリスクが出てきます。
ルーフィングが傷めば、雨漏りや木部の腐食が起こる恐れも出てきます。
防水工事のタイミング
ベランダやバルコニー、屋上の防水工事のタイミングは、防水層が傷んでいたり寿命を迎えて機能が落ちてきたりしたときです。
防水層の代表的な劣化サインには、次のようなものがあります。
※下記でいう「床」は、ベランダ・バルコニー・屋上の床です。
- 雨漏りが起きている
- 床の裏や、床の真下にあたる居室の天井に染みができている
- 床に勾配(傾き)ができ、水がたまりがちになっている
- 床に浮きやめくれが見られる
- 表面のトップコートだけでなく、下の防水層にまで届くようなひびや割れが見られる
自宅のベランダ・バルコニー・屋上が上記のような状態であれば、防水工事の業者に現地調査を依頼してみるとよいでしょう。
工法や環境によりますが、防水層の耐用年数は10~30年であることが多いです。
防水工事の際、床に置いてある室外機は、邪魔にならないようロープで少し持ち上げておくなどの対応をするのが一般的です。
このような室外機の対応も、業者がやってくれます。
塗装工事のタイミング
場所ごとの塗装工事のタイミングを紹介します。
ベランダ・バルコニーの塗装サイン
表面の色あせやひび割れ、コケや雑草の繁殖が見られたら、ベランダ・バルコニーの塗装を検討してみるとよいでしょう。
表面のトップコートだけの劣化であれば、トップコートを塗り替えることで対応が可能です。
屋上の塗装サイン
塗装サインはベランダ・バルコニーと変わりません。
ただし、屋上はそもそも塗装しないタイプもある(シート防水工法やアスファルト防水工法の場合)点に注意が必要です。
外壁の塗装サイン
外壁の塗装サインには、次のようなものがあります。
- 外壁表面や目地(建材同士のつなぎ目・コーキング)のひび
- 色あせやコケ、黒ずみ
- チョーキング現象(外壁に触れると手に粉がつく)
外壁の塗り替え時期についてくわしいことは、こちらのコラムをご確認ください。
屋根の塗装サイン
屋根の塗装サインには、次のようなものがあります。
- 屋根に割れや欠け、ひびが生じている
- 屋根にコケや藻が生えている
塗装工事ならまとめて施工がおすすめ
塗装工事をするなら、「ベランダだけ」や「外壁だけ」よりも、「外壁と屋根とベランダをまとめて塗装」がおすすめです。
おすすめする理由は、次の3つ!
- 住宅で一部だけ塗装すると、「〇〇の部分は塗りたてでピカピカなのに、それ以外は色あせている」といった状態になり、住宅の外観が不自然になる
- 外壁と屋根を同じタイミングで塗装することで、足場代を節約できる(外壁塗装も屋根塗装も足場の設置が不可欠のため、別々のタイミングでの塗装は足場設置が2回必要になるため)
- 外壁と屋根の色の組み合わせのチョイスを楽しむことができる
マイホームの色あせや汚れ、ひび割れなどが気になっている方は、この機会に自宅の塗装工事をぜひご検討ください。
塗装工事を検討中の方へ
自宅の塗装工事(外壁塗装・屋根塗装・ベランダ塗装)を検討中の方には、こちらの項目にも目を通してみることをおすすめします。
DIYは危険かも?
外壁・屋根の塗装は高所作業を伴います。
専門業者ではない人が高所で作業するのは、転落事故の恐れがあり大変危険です。
たとえば、千葉県に多くの被害を出した台風15号の後には、自分で屋根を修理しようとした方の転落事故例が多く報告されています。
地面に立って施工できる範囲の部分的な塗装ならよいですが、転落の危険を考えると、個人が外壁や屋根の全体を塗装をするのはおすすめできません。
また、一見して大したことがなさそうに見える劣化サインでも、見えないところで劣化が進んでいるケースもあります。
もし塗装の剥がれなどが気になる場合は、できる限り専門店に見てもらうことをおすすめします。
※参考:千葉日報 住宅被害2万戸超か 屋根転落で死傷者続出 シート張り「依頼を」 【台風15号】
色選び
マイホームの外壁・屋根の色選びは楽しいものですが、「選び方の基準って何だろう?」といったことで悩む方も少なくありません。
色選びの基準や人気の色が気になっている方は、こちらのコラムをぜひ参考にしてみてください。
いえふくは、色選びでお悩みの方向けに、3Dカラーシミュレーションをご用意しております。
「実際に塗ったときの雰囲気を目で確認したい」とお考えの方はもちろん、「3D?何か面白そう!」と感じた方も、ぜひお試しください。
塗料選び
塗装で使う塗料選びにあたって疑問や不安のある方には、こちらのページがおすすめです。
相場
一般的な戸建て住宅の場合で、外壁塗装の相場は80~120万円前後といわれています。
※一般的な戸建て住宅とは「延べ床面積(各階の床面積の合計)が30坪前後の2階建て住宅」を指します。
ただし、塗装費用は諸条件に左右されるので、必ずしも相場通りの金額でできるとは限りません。
相場についてくわしく知りたい方は、こちらのコラムをご活用ください。
まとめ
住宅の防水のためには、「防水工事」と「塗装工事」の両方が重要です。
防水工事で防水層を作ることでベランダ・バルコニー・屋上の雨漏りを防ぎ、塗装工事で防水層の表面を塗料で保護することで、防水層の劣化を防ぎます。
外壁・屋根の塗装は、外壁材・屋根材にひび割れや欠けが起こるのを防ぐことで、外壁・屋根の防水で重要な役割を果たしています。
塗装工事や防水工事などのメンテナンスは、雨漏りや木部の腐食を未然に防ぎ、家を長持ちさせるために重要なことなのです。
10年以上自宅の塗装をしていない方や、外壁やベランダの状態が気になっている方は、いえふくまでお気軽にお問い合わせください。