みんなの外壁塗装ガイド
外壁塗装に欠かせない「養生」とは─その重要性と方法について
公開日:2018/08/20 / 最終更新日:2021/06/24
建築現場で広く取り入れられている作業工程のひとつ、「養生」についてご存知ですか?
養生は、建築現場において主に建物や車・植木などの保護を目的として行われます。
外壁塗装の作業を始める前に施し、作業完了後はすべて撤去したうえで納品するのが鉄則となっています。
ここでは、外壁塗装の際に行う「養生」のやり方、特徴、気になる費用の相場、注意点についてまとめました。
養生って何?
家の塗り替えを行う際、塗料がついてしまうと不都合な場所はたくさんあります。
養生とは、「保護する」という意味を持ち、外壁塗装における養生は、窓やサッシ、植木などの「塗料を塗らない場所を保護する」目的があります。
以下に、養生の具体的な例を挙げます。
- 窓やサッシ、床など、塗装を施さない部分にビニールやテープ、マスカーなどを貼って保護する養生
- 車や花壇、植木など、塗料が付くと困る部分をシートで保護する養生
- 周りの住宅などに塗料や、外壁の汚れを落とすため外壁塗装の際に必要な行程である高圧洗浄時の水や汚れなどが飛び散らないように、メッシュシートを使って家を囲う養生
外壁塗装における養生の役割は、主に塗料の飛び散りを防ぐことです。
外壁塗装をする際には、あらかじめ養生を済ませてから塗装作業に入るのが一般的です。
養生に使用する道具の種類と特徴
ここでは養生に使われる主な道具の名称と、それぞれの特徴を紹介します。
養生用ポリシート
主に塗料の飛び散りと防水に使われるシートです。
広げて貼ることで、床や窓枠など広い範囲の養生が可能です。
マスキングテープ
マスキングテープは、養生用のポリシートを貼り付けるために使用されます。
粘着力が弱いため、剥がしやすくテープの跡が残りにくい点が長所です。
マスカー
マスカーとは、上記で紹介した養生用シートとマスキングテープが一体化した養生用資材です。
この2つの資材を一体化させることで作業時間が大幅に短縮され、効率的な作業が可能になります。
ノンスリップマスカー
マスカーに「滑り止め機能」がついたタイプのものです。
ノンスリップマスカーを使うと塗装作業を行う施工者の足元が滑りにくくなるため、玄関やベランダなどでよく使用されています。
ブルーシート
足元に使う養生用資材には、マスカーやノンスリップマスカーの他にブルーシートを使う場合もあります。
ポリシートやマスカーよりも広範囲への養生が可能なため、広い空間でよく使用されます。
布カバー
用途はブルーシートと同じ布カバーですが、布カバーは足元が滑りにくく作られています。
こちらもブルーシート同様、広い範囲(主に床など)の養生に使われます。
カーカバー
自動車専用の養生用カバーは、自動車の塗料の変化・変色を防ぐために通気性の高い素材で作られているのが特徴です。
厚手タイプや薄手タイプがあるため、用途や車に合わせて選びましょう。
室外機カバー
エアコンの室外機の養生に使われるカバーです。
こちらもカーカバー同様、さまざまな素材のものがあります。
布テープ
布テープは、養生用のポリシートなどが足りなくなってしまった際の継ぎ足しや補強用に使われます。
粘着力が強く、跡が残ってしまうこともあるので、直接の貼り付けにはあまり使用されません。
飛散防止ネット
飛散防止ネットとは、家全体を覆うメッシュシートのことを指します。
外からも目につきやすいため、最もなじみ深い養生かもしれません。
足場と同時に設置され、通気性があるのが特徴です。
塗装方法と養生の関係
外壁塗装では主に、以下の2つの塗装方法が採用されています。
- 刷毛やローラーを使って塗装する「手塗り」
- スプレーガンなどで噴射して塗装する「吹き付け」
塗装の際には、必ずといっていいほど塗料が飛び散ります。
住宅の外壁の塗り替えの場合、ローラーで塗装することがほとんどですが、ローラーでも塗料は少なからず飛び散ってしまいます。
一方、「吹き付け」を選択する場合は、手塗りよりも塗料が近隣に飛散しやすくなります。
よって、塗料の近隣への飛散を防ぐためには、飛散防止ネットで家全体を覆う必要があるのです。
飛散防止ネットは高圧洗浄時の水の飛散にも対応できるため、外壁塗装の際に広く活用されています。
養生にかかる費用の相場
ここでは養生にかかる大体の費用の相場を紹介します。
養生を行う業者や使用する物、場所によって金額は変化するので、具体的な価格や見積もりなどは依頼先の業者に詳しく問い合わせてください。
- 飛散防止ネットの価格・・・1平方メートルあたり200~400円程度
これを坪単価に換算すると、1坪(約3.3平方メートル)あたり約660~1,320円程度になります。
家の坪数で考えると、30坪の家では49,800~89,100円となります。
養生を必要とする場所は?
近隣への塗料の飛散はもちろん、室内への飛散も可能な限りしっかりと防ぎたいものですよね。
ここでは養生が必要な場所と、養生の際に押さえておきたいポイントについて紹介します。
植木、花壇、芝生など
植物の養生は、植物を塗料の飛散から守ることはできますが、植物自体の呼吸や光合成を妨げてしまうというデメリットがあります。
水やりや雑草の除去なども難しくなってしまうため、これらはなるべく作業が短時間で済むようスケジュールを組み、早急にシートを取り除くことが重要です。
窓ガラス
塗装中に窓を開けると、当然のことながら飛散した塗料が部屋の中に入ってきてしまいます。
施工時は窓にも養生を施すため、期間中は窓を開けることができません。
室外機にも養生を施すためにエアコンを使用できないこともあるので、夏場などの気温の高い季節に塗装を行う際は注意が必要です。
また、塗装中は洗濯物を外に干すこともできなくなってしまいます。
洗濯の際は、部屋干しかコインランドリーの使用をおすすめします。
自動車
自動車に長時間ポリフィルムをかぶせておくと、湿度の変化によって車体塗装が変色することがあります。
変色を避けるため、通気性のある車用の養生シートを使って養生を行うという方法もあります。
こちらも植物と同様に、なるべく早く養生を剥がすことがポイントとなります。
また、自動車に養生シートをかけることで車体に傷がつくのでは……と不安に思う人もいます。
その場合は不織布で作られたシートの使用がおすすめです。
不織布はビニールと比べると汚れのカバー力が落ちますが、擦り傷が付きにくくなるというメリットがあります。
近隣の住民の方々にも車体に傷がつくリスクを説明した上で、カーシートをかける許可をもらうことが大切です。
場合によっては近隣の自動車にも不織布のシートを使った養生を行う必要があります。
事前のしっかりとした説明と相談が必要です。
まとめ
塗装作業における養生は、塗料の飛散を防止する大切な工程のひとつです。
ご近所への配慮はもちろんのこと、室内の保護にも重要な役割を果たします。
また、養生は塗装を実際に行う施工者の安全確保にも欠かせません。
外壁塗装を依頼する際は、養生の重要性についてもしっかり把握しておきましょう。