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雨戸塗装の費用相場とDIYの方法

雨戸は、10〜20年に一度メンテナンスをすれば問題ないといわれている外壁などと比べると、耐用年数が短いのが特徴です。
耐用年数が短いため、家屋の修繕として初めて行うのが雨戸塗装というケースもあるかもしれません。
初めてのメンテナンスをDIYでまかなうのは、思わぬトラブルや想定外の事態を招きやすく危険です。
また世間には、強引な訪問販売、激安を謳うチラシを出している悪徳業者も多く、安易に業者を指定するのも考えもの。
ゆえに家屋の修理は、安心して任せられる業者へ依頼することが重要です。

業者への依頼前に知っておきたい塗装の費用相場や、DIYで塗装を行う際の注意点についてまとめました。
ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 雨戸のメンテナンス時期
  2. 補修の選択肢
  3. DIYで必要な道具と塗料
  4. DIY雨戸塗装の工程
  5. DIY塗装における注意点
  6. まとめ

雨戸のメンテナンス時期

家屋の建っている環境や構造によって違いはありますが、一般的に雨戸の耐用年数は5年程度とされています。
これは外壁や軒といった部位の耐用年数である10〜20年に対し、かなり短い期間といえます。
とはいえ、耐用年数が短いのは雨戸に問題があるからではありません。
雨戸は、スライド式とシャッター式に大きく種類を分けることができますが、どちらにも共通しているのは毎日複数回にわたって開閉され続ける部位だということです。
雨風や台風といった自然の影響のみを受ける外壁と、人の手で開閉される機会の多い雨戸では、劣化の程度やメンテナンス時期に大きく差があるのもやむを得ないことといえるでしょう。

補修の選択肢

雨戸の状態を回復させる補修の選択肢は、塗装と取り替えの2つです。
新築あるいは、前回の雨戸補修から4〜5年しか経過していない場合、大きな不道具一式ければ再塗装で充分だと考えられます。
しかし、長年生活していて一度も雨戸を取り替えていない、あるいは明らかに分かる不具合が出ているといった場合は、新しいものへ取り替える必要があります。
それぞれの補修について、費用の目安とともに詳しく解説します。

足場費用の目安

まず雨戸補修の前提として、足場の設置費用に関しても予備知識として知っておく必要があります
補修するべき雨戸が1階部分であれば足場を組むことなく作業が可能ですが、2階部分あるいはそれ以上の高所にある雨戸を補修する場合は、足場の設置費用が別途かかります。
足場の設置費用は家屋の大きさや作業に必要な高さによって異なりますが、10〜20万円程度が相場です。
ちなみに、もし外壁や軒といった雨戸以外の補修工事を検討中もしくは依頼済みの場合、高所の雨戸補修も同時に依頼すれば同じ足場を活用できるのでお得です。

塗装

塗装費用の目安

雨戸の塗装におけるひとつの費用目安として、1,500円/㎡という価格設定があります。
そのため1枚あたりの価格が2,500〜4,000円であれば、標準的な見積もり価格といえるでしょう。
ちなみに、スチール製の雨戸と木製の雨戸では、木製塗装の方が一枚あたり1,000円ほど高い傾向にあります。
とはいえ、大きな補修工事のついでにサービスで雨戸の塗装を請け負う業者もおり、また反対に、塗料の質や雨戸の状態によってはこれよりも高額の見積もりが出ることもあります。
これらの費用目安は、あくまでも参考程度に考えてください。

塗料による価格の差

塗装費用は、使用する塗料によっても値段が変わってきます。
用いる塗料が水性塗料の場合は、安価ですが塗りムラが出やすいという特徴があります。
一方で吹き付け塗装を行うウレタン樹脂塗料は、水性塗料に比べると塗装料が高いものの、塗りムラが出にくく、耐久性も高いという特徴があります。
雨戸塗装の見積もりをとる場合は、単純な価格差だけでなく、耐久性や仕上がりまで考慮して検討することをオススメします。

取り替え

取り替え費用の目安

壊れていたり損傷の激しい雨戸は、塗装ではなく取り替え工事が必要になります。
雨戸の取り替えは、雨戸の形状によって価格が違ってきます。

  • 引き違い雨戸(単板タイプ) 2〜5万円程度
  • 手動のシャッター型雨戸 8〜15万円程度
  • 自動のシャッター型雨戸 10〜30万円程度

取り替え箇所が2階以上の高所で、作業に足場が必要になる場合は、別途足場の設置費用が必要です。
取り替え工事では、現在ついている手動式シャッターを、自動で開閉できるタイプに変更するといった施工も可能です。
ただし、自動で開閉できるタイプを導入する際は、停電や思わぬ故障といったアクシデントについても考慮しておく必要があります。
手動で開閉するタイプの雨戸は、どんな時も自力で開閉できますが、自動で開閉するタイプは、電気が通じなくなった時に動かせなくなってしまうからです。
高額であっても自動と手動を切り替えられる雨戸を選択すると、停電時や思わぬ故障のときにも手動で開閉できるため、安心です。

DIYで必要な道具と塗料

必要な道具

塗装と取り替えについておよその費用相場が分かったところで、雨戸のDIY塗装についてみてみましょう。
まずは、必要な道具についてです。

軍手 3セットくらい (¥600程度)


怪我を防止するため、作業の際は軍手を装着しましょう。
汚れたままの軍手を使っていると、塗装したところに汚れが移ってしまうリスクがあるので、常に清潔な状態で活動できるよう、いくつかスペアを用意しておくことをオススメします。
画像引用:Amazon

サンドペーパー #80〜120 5枚以上 (¥400程度)


サンドペーパーは、後で解説する「ケレン」という作業において表面をなめらかにするため、また、塗料の密着性を高めるために使用します。
雨戸をきちんと平滑にできるように、粗い目のものと細かい目のもの、数種類を 準備しましょう。
画像引用:Amazon

ラスター刷毛 (¥1,000程度)


ラスター刷毛は細い毛束が密集している刷毛で、サンドペーパーで削った鉄粉や落としたサビを掃除するのに使う道具です。
特殊加工により、毛のコシや弾力が強化されているので、細かい鉄粉などをしっかり除去しやすいという特徴があります。
画像引用:Amazon

ウエス (¥500程度)


ウエスは汚れや余分な塗料を拭き取るためのタオルで、刷毛と合わせて雨戸の表面のほこりを除去するのに使います。普通のタオルよりも吸い込みがよく、また丈夫なのが特徴です。
画像引用:Amazon

ローラー (¥1,000程度)


ローラーも刷毛も、基本的には1回の塗装で使い捨てる道具です。
雨戸は1度の下塗りと2度の上塗り、計3回の塗装をするので、回数に合わせて3〜4本のスペアを用意しましょう。
画像引用:Amazon

塗料用の刷毛 (¥500程度)


刷毛は、水性/油性兼用タイプを、ローラーは小回りのきくサイズをチョイスすると作業しやすくなります。
画像引用:Amazon

養生用のマスキングテープ (¥800程度)


塗料を乾燥させる度に剥がす必要があるので、雨戸のサイズによっては複数個購入しておくと安心です。
画像引用:Amazon

塗料容器 (¥500程度)


塗料容器として使うバケツには、ローラー塗装に向いているローラーバケットタイプもありますが、普通のバケツでも問題なく使用できます。
画像引用:Amazon

以上が、雨戸の塗装に必要なアイテムです。
どれも一般的に販売されているもので、ホームセンターやアマゾンなどで購入可能です。
費用の目安として、アマゾンで販売されている各アイテムを記載しました。

DIY塗装で使う塗料について

雨戸の塗装は、下塗りにも上塗りにも油性塗料を用います。
油性塗料はシンナーで薄めて塗布する必要があるので、雨戸の塗装には下塗りのためのプライマー(サビ止め)、上塗り塗料、シンナーという3つの液が必要になります。
塗料は1kg、3kg、15kgなど、異なる容量サイズで販売されています。横幅970mm、高さ1835mmという通常の大きさの雨戸数枚であれば、1kgか2kg(1kgを2個)で足りますが、10枚以上の雨戸を塗装する場合や、通常より大きなサイズの雨戸は、塗料も多く必要になります。
途中で足りないといった事態に陥らないよう、塗布できる面積をよく確認して購入してください。
ちなみに、上塗り塗料の色は、ホワイトやグレー、ブラウン、ブロンズ、ブラックといったカラーが一般的です。
何色にするべきかという決まりは特にありませんが、雨風にさらされる雨戸の特性上、汚れの目立たないブラウンやブロンズといったダーク系の塗料がよく選ばれています。
しかしながら、外壁の色とのバランスによって選択肢はさまざまなので、家屋に合った色をチョイスするとよいでしょう。

DIY塗装がNGの雨戸タイプ

雨戸はどのような材質、形状でも塗装できるわけではありません。
上げ下ろしすることで塗料が剥がれ落ちてしまうシャッタータイプの雨戸、塗料の密着性が低いアルミ製の雨戸は、原則として塗装NGです。

一方で、スチール製や木製の雨戸は、DIYでの塗装も可能です。

DIY雨戸塗装の工程

では、いよいよ塗装の具体的な工程について順を追って解説します。
雨戸の塗装は、下処理の「ケレン」、「下塗り」、2度の「上塗り」という工程でおこないます。
専門業者であれば半日で完了する雨戸塗装ですが、DIYで行う場合は乾燥時間をしっかりと確保するため、2日間に分けて作業した方が安心です。

1日目

1.ケレン

ケレン処理は、塗料の密着性を整えるためサンドペーパーを使用して雨戸の表面を平らに、そしてザラザラにする処理のことです。
塗料がところどころ残っている状態や表面がツルツルの状態では、新しく塗る塗料をうまく密着させることはできません。
そのため、凹凸をなくし、塗料が入り込みやすいザラザラした表面にする必要があります。
シャッター部分がさびている場合は、サビ落としも必要です。
塗布する面が凸凹だったり、ほこりやゴミが付着していたりすると密着性だけでなく仕上がりにも影響が出るため、下処理は念入りにおこないましょう。
ケレン作業が終わった後は、刷毛やウエスを使って、丁寧に削りかすやサビを除去します。

2.養生

次に、塗料をつけたくない部分を養生しましょう。
雨戸の枠やレールといった部分をマスキングテープ(養生テープ)で覆っておけば、不要な部分に塗料をつけることなく作業できます。
しっかり養生しないと、枠やレールに塗料が付着して仕上がりがいまいちに見えるので、時間をかけて丁寧に行います。

3.下塗り

養生が終わったら下塗りを行います。
下塗りは、プライマーと呼ばれるサビ止めを用います。
プライマーは、上塗りで使用する塗料の密着性を高めるためのものです。
ここで塗りムラができると、上塗りにも影響が出るので、刷毛で丁寧に塗装していきましょう。
下塗りには4時間程度の乾燥時間を設けることが推奨されているので、1日目の作業をここまでにしておくと、時間を有効に使うことができます。
なお、4時間というのは暑すぎず、寒すぎず、梅雨時のように湿度が高くない場合を想定しています。
環境によっては4時間で完全に乾かないことも考えられるので、心配だという場合は乾いたという確信がもてるまで待つとよいでしょう。
塗料が乾燥すると養生のために使ったマスキングテープが剥がれなくなってしまうので、乾燥に入る前に剥がすのを忘れないようにしてください。

2日目

4.上塗り(1)

プライマーがしっかりと乾燥したら、1回目の上塗りをします。
上塗りの際も、雨戸の枠やレール部分はしっかり養生しておきましょう。
上塗りでは、刷毛ではなく、ローラーを使った方が塗りムラのないきれいな塗装ができます。
上塗りは2回行うので、塗料は薄く塗布すれば充分です。
べったりと塗りすぎると、塗料がたれる、凸凹になるなどの可能性があるので注意しましょう。
全体をまずローラーで塗装し、隅の部分などローラーでは塗装できないところのみ刷毛で塗装をすると、見た目が美しく仕上がります。
上塗り1回目は1時間程度の乾燥で、2回目の上塗りが可能です。
充分に乾燥できているか心配な場合は、用心して2倍3倍の時間をかけてもよいでしょう。
ここでも乾燥させる前に養生に使ったマスキングテープを剥がしておきましょう。

5.上塗り(2)

1時間かけて乾燥させたら、もう一度養生をし、先ほどと同じようにローラーと刷毛を使い分けて雨戸を塗ります。
2回目の上塗りは、養生テープを取ってから4時間ほどしっかりと乾燥させましょう。

DIY塗装における注意点

いくつもの工程によっておこなわれる雨戸塗装ですが、DIYにおいては手順を守る以外にも気をつけるべき注意点がいくつかあります。

まず考えなくてはいけないのが、雨戸の塗装の多くは高所でおこなわれるという点です。
下処理と3度の塗装、その都度の養生作業は、DIYに慣れた人でも細心の注意を払って行わなければなりません。
1階部分の雨戸であっても、背丈よりも高い雨戸の上部までしっかりとサンドペーパーをかけ、養生をしてローラーによる塗装を行うのはかなりの労力を伴います。
2日間かけて長時間作業できるかどうか、取り掛かる前にスケジュールや体力を鑑みて計画する必要があるのではないでしょうか。

2つ目は、シンナーを含めた塗料の適切な取り扱いが要求されることです。
専門業者は塗料の知識があり、危険を伴う作業道具であっても適切に取り扱うことができます。
しかし不慣れなDIYの場合は塗料の薄め方など、ひとつひとつ調べながら作業しなければならない可能性もあります。
残った塗料の処理をどうするか、あるいは塗っている途中で塗料が足りなくなったらどうすればいいかなど、作業以外に考えなくてはいけないことが多いのが難しいところです。

3つ目は、塗装の仕上がりのクオリティです。
雨戸はいくつも段があるため、慣れていないと塗装しにくく、家屋の各部位の中でも塗りムラができやすいパーツです。
そのため、労力と時間をかけて塗装をおこなっても、見た目がいまいちであったり、雨戸の耐久性が充分に確保できなかったりというリスクがあります。

4つ目は、季節や湿度についてです。
湿度の高い梅雨時や、気温が極端に高かったり低かったりする夏、冬はDIY塗装に適していません。
とはいえ、季節を悠長に待っていられない時もあるでしょう。
そんな時には、専門業者に依頼した方が簡単で安心といえます。

まとめ

雨戸は家屋の中でも特に劣化しやすく、5年という比較的短い年数での塗装が必要な部位です。
ですが、雨戸は雨風を室内に入れないように守るだけでなく、防犯に役立つという面ももっています。
雨戸の塗装剥がれや損傷を放っておくと、手入れが行き届いていないと判断され、空き巣など外部からの侵入者から狙われやすくなるリスクも高くなります。
ただの劣化と軽く考えずに、傷んでいる場合は早めに業者に依頼しましょう。