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ALC外壁のメンテナンス方法とは?外壁塗装で注意すべき4つのポイントを解説
公開日:2018/03/09 / 最終更新日:2021/06/24
- 「自宅がALC外壁だけど、メンテナンスはどうすればいいのだろう」
- 「メンテナンスのタイミングはいつがいいのだろう」
と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。
ALC外壁の住宅は希少性が高く、市場にはあまり出回っていません。身近でくわしい人も少なく、お悩みの方も多いと思います。
この記事では、自宅がALC外壁で初めて外壁塗装を検討している方に向けて、ALC外壁のメンテナンス方法を解説します。あわせて塗装で注意すべき4つのポイントを紹介していますので、参考にしてみてください。
ALC外壁のメンテナンス方法
ALCとは、セメントの中に気泡を入れて軽量化したコンクリートボード外壁で、強度が強く、耐火性にも優れた優秀な外壁です。しかし、長く使うためには定期的なメンテナンスは必須です。
以下で、次の5つをご説明します。初めてメンテナンスを検討するにあたって、ALCパネルの外壁のメンテナンス頻度や、時期の目安となる劣化のサイン、メンテナンスの方法や費用目安を押さえておきましょう。
メンテナンスの頻度
ALC外壁のメンテナンス頻度は、7~10年が目安です。しかし、あくまで目安であって、塗装や補修などのメンテナンスが必要かどうかは、外壁の状態によります。
定期的に外壁の状態を確認し、劣化のサインを見逃さないようにしましょう。
劣化のサインに気付かず放置すると、やがて外壁の内側に雨水が侵入します。侵入すると雨漏りや木部が腐ってしまうなど、劣化の原因になるので注意が必要です。
メンテナンスの目安となる5つの劣化現象
メンテナンスが必要かどうか、目安となるポイントは主に5つあります。これらは劣化のサインであって、定期的に確認する必要があります。
チョーキング現象
チョーキング現象とは、代表的な劣化現象の1つで、外壁に触ったときに、チョークのような白い粉が手に付きます。“白亜化現象”とも呼ばれ、原因は塗膜(塗料の膜)の劣化です。
経年劣化で機能を失った塗膜が、粉状になって外壁表面に浮き上がり、触れると手に付着するようになります。チョーキング現象を発見したら、塗料が劣化しているサインです。塗り替えを検討しましょう。
塗料の浮きや、剥がれ
塗装表面に浮きや剥がれが発生している場合、注意が必要です。塗膜の防水機能が失われ、外壁が雨によるダメージをもろに受けてしまいます。
ALCパネルは他の外壁と比べて防水性は高くありません。なので、早めの対策が必要です。ただし、外壁は数日で状態が急激に悪化するようなものではありません。焦るあまり、悪徳業者に引っかからないように注意しましょう。
カビやコケ、藻などの発生
カビやコケ、藻が目立ち始めたら、外壁の劣化サインです。カビやコケは水気のあるところに発生します。
そのため、カビやコケで汚れている箇所は、塗膜の防水性が失われて、外壁表面に水気が溜まるようになっています。外壁の美観が損なわれるだけでなく、防水性が低下しているので、いづれ外壁のひび割れや雨漏りに繋がります。
コーキングの劣化
コーキングとは、目地(外壁の建材同士のつなぎ目)の間に充填剤を注入して、雨水や汚れの侵入を防ぐためのものです。シーリングとも呼ばれますが、どちらも同じ充填剤を指します。
コーキングの劣化のサインとして、ひび割れや剥がれ、やせ細り、欠落といった現象が挙げられます。劣化によってできたすき間を放っておくと、そこから侵入した雨水が外壁を傷めてしまいます。
ALCパネルの外壁はコーキングが多く使われています。また、コーキングは一般に外壁の塗装よりも劣化が早いため(耐久年数は5~10年)、こまめなチェックと状態に応じた補修が必要です。
ALCパネルの破損やひび割れ
ALCパネルの破損やひび割れを発見したら、メンテナンスが必要です。経年劣化により、パネル自体の耐久性が落ちてしまっていて、破損やひび割れが発生しています。
ALC外壁は他の外壁と比べ耐水性が低く、水に強くはありません。破損やひび割れのすき間に水が入り込んでしまうと、劣化が進んでしまいます。なので、早めにメンテナンスを検討しましょう。
ALCのメンテナンス方法と費用について
方法① 塗り替え
ALCパネルは水に弱い建材であるため、塗装によって防水性を持たせる(塗膜によって表面を保護する)ことが絶対です。
ALCパネルの外壁の建物を建てる際には必ず塗装が行われますが、塗装は経年劣化で機能を失っていくため、定期的な塗り替えの必要が出てきます。
ALCの外壁の塗装は、透湿性能(水蒸気を通す性質)の高いものを選ばなければなりません。
吸水性が高い建材であるALCは、目視の点検で見落とされたごく小さな隙間から浸水が起こることがあります。
一度吸収された水分が温められて水蒸気となり、外壁の外側へ出ていこうとします。そのとき、透湿性能の低い塗膜が外壁の表面を覆っていると、塗膜を通過できない水蒸気が塗膜を内側から押し上げて膨れや剥がれが起こるのです。
費用目安
30坪(約99㎡)では80~120万ほどです。外壁がALCだからといって、塗装費用が他の種類の外壁材の場合と比べ圧倒的に高額になることはありません。
塗装費用を左右するのは、用いる塗料の種類や外壁の状態(どのくらいの補修が必要か)などです。
外壁塗装の相場については、こちらの記事にまとめられています。気になる方はチェックしてみてください。
<参考記事>外壁塗装の正しい相場|比較ができて見積もり書の確認にも便利!
方法② コーキング
コーキングの補修の方法は、次の2通りがあります。
- 増し打ち : 既存の古いコーキングの上から新しいコーキングを打つ方法
- 打ち替え : 既存の古いコーキングを取り除き、新しいコーキングを打つ方法
増し打ちは、既存の古いコーキングがあまり劣化していない場合に限り使える工法で、古いコーキングを取り除く作業が要らないぶん、打ち替えより安価です。
打ち替えは、増し打ちより施工費は割高です。しかし、コーキングを丸ごと新しいものに取り替える工法であるため、防水性などの機能が増し打ちしたコーキングよりも長く保たれます。
費用目安
コーキング補修の費用目安は、次の通りです。
- 増し打ち : 500~900円/m
- 打ち替え : 900~1,200円/m
コーキング補修が必要な面積は住宅によって異なるため、住宅全体のコーキング補修の総額がどのくらいになるかははっきりとは言えません。
しかし、日本で一般的な規模の2階建て戸建て(30坪)のコーキング補修の相場は、15~20万円となっています。
ALC外壁はコーキング部分が多いので、コーキング補修費用は割高になる傾向があります。
塗装工事の流れと注意すべき4つのポイント
外壁塗装を検討するにあたって、塗装工事の大まかな流れと、ALC外壁の塗装で注意すべき4つのポイントをご紹介します。
工事を依頼する側も、工事の流れと注意すべきポイントは把握しておきましょう。流れや注意すべきポイントを知っているかいないかで、大きな差になります。知っていれば、工事について疑問点があれば業者に指摘することができ、より納得のいく工事になるでしょう。
工事の流れ
外壁塗装の工事は、一般に次のような流れで行われます。ALC外壁の場合でも同様です。
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 養生
- 下地処理
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
※業者によって工程の呼び方が違ったり、外壁の種類や状態など条件によって順番が入れ替わったりします。
外壁塗装の施工の流れについて、よりくわしく知りたい人は、以下をご確認ください。
ALC外壁塗装の4つのポイント
ALC外壁の塗装には、気をつけるべき4つのポイントがあります。
ALC外壁は希少性が高く、特殊なため、特に気をつけておきたいポイントを解説します。
コーキングをしっかり補修
ALCの外壁は、他の外壁と比べて特にコーキング箇所が多いです。コーキングの劣化を長期間放っておくと、外壁の傷みや雨漏りの原因に繋がります。
ALCの外壁塗装を行うときは、必ずコーキング補修も合わせて行いましょう。そのためには打ち合わせの際に、業者にしっかりと確認しておくことが大切です。
下塗り塗料は厚く塗布できるものを
外壁塗装は、3度塗りが基本です。下塗り・中塗り・上塗りといった3つの工程があります。しかし、ALC外壁の場合は特別で、下塗りに用いる塗料には厚塗りできるものを選びます。
ALC外壁は吸水性が高く、塗料が薄いと水を吸い込んで劣化しやすくなります。なので、ALC外壁は厚い塗膜で表面をしっかり覆って、雨水から守る必要があります。
爆裂処理をしっかり行う
爆裂とは、ALCパネルを固定しているボルトが錆びることにより、本来は外から見えないようになっているボルトがむき出しになったり、ボルト周辺のパネルに剥離が起きたりする現象です。
ALC外壁を塗装する際は、以下2つをチェックし、適切にメンテナンスする必要があります。
- 「爆裂が起きていないか」
- 「ボルトのサビなど、爆裂の兆しはないか」
ALCの知識がある業者を選ぶ
外壁材には種類があり、種類によって適した塗料や注意点が変わります。ALC外壁の塗装を依頼するなら、ALCの知識や施工経験のある塗装業者を選びましょう。塗装業者を選ぶ際には、その業者にALCの知識や施工経験があるかどうかも確認しておきましょう。
まとめ
ALCは、耐久性が高く、防火性にも優れていてとても優秀な建材です。しかし、市場にはあまり出回っておらず、対応できる業者が少ないのが現実です。
だからこそ、ALCパネルの特性をしっかりと把握しましょう。もし、業者選びを間違えて、施工経験がない業者に依頼した場合、質の悪い工事をされてしまう可能性も。ALCパネルについて知っておけば、業者に工事について指摘でき、ダマされることもなくなります。
メンテナンス頻度や、時期の目安となる劣化サイン、メンテナンスの方法や費用目安をしっかりと把握して、納得のいく工事にしましょう。