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屋根材の違いでリフォーム時期・費用も変わる!特徴を知ってリフォーム準備を
公開日:2018/12/14 / 最終更新日:2021/06/24
屋根は高い位置にあって目につきにくいため、日々の生活で注目されることが少ない場所です。
しかし、私たちの家を雨や直射日光から守ってくれている屋根にトラブルが生じると、とたんに住まいの快適さが損なわれることとなります。
とくに屋根の表面を覆う屋根材は、屋根の特徴を左右する重要な要素です。
使用する屋根材によって耐久性も変わるため、リフォームのタイミングやリフォームの費用が変わることもあります。
雨漏りなどの不具合が起きてしまってから慌てることのないよう、自宅の屋根について特徴や欠点を把握し、補修が必要となるタイミングに向けて準備をしておきたいものです。
この記事では、
- 屋根材の特徴と種類
- 屋根材の選び方
- 屋根のリフォームの種類やタイミング
について紹介します。
屋根材の系統と市場動向
屋根材の5つの系統
屋根材には多くの種類がありますが、大きく5つの系統に分類することができます。
スレート(コロニアル、カラーベスト)
セメントと繊維状の原料を混ぜて成型・加圧したもの。
他の屋根材より割安です。
金属系
ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板、ステンレス、銅など。
耐久性が高いです。
しかし、金属の薄板なので素材自体には断熱性、防音性がなく、重いものがぶつかるなどするとへこむ恐れもあります。
粘土系
粘土を成形し、高温で焼き上げたもの。瓦など。
比較的高価だが耐久性が高く、メンテナンスの費用は少ないです。
しかし、割れやすい欠点もあります。
重量があるため、耐震性にも懸念があります。
セメント系
セメントを成形し、粘土瓦のように成形したもの。
粘土瓦の代替品として一時期広く用いられましたが、重みがあって耐震性に懸念がある点や耐久性が低い点などから、現在ではほとんど用いられていません。
アスファルト系
ガラス繊維をアスファルトでコーティングし、砂粒を吹き付けた薄く柔軟な屋根材。
「アスファルトシングル」と呼ばれています。
薄くて柔らかいので複雑な形状の屋根や曲面の屋根にも施工できます。
軽量なので耐震面でも安心です。
同じ系統であっても特徴が異なる場合もあります。
屋根材の採用率|最近の市場動向は?
最近の屋根材の中で使用比率が高いのは
- ガルバリウム鋼板、もしくはジンカリウム鋼板:37.8%
- スレート(コロニアル):32.7%
- 粘土瓦:18.7%
となっています。
20年ほど前までは、スレートが最もポピュラーな屋根材で、40%を超える住宅で使用されていました。
その後スレートの使用率は徐々に減少し、最近の使用比率ではガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板の屋根が多く使用されるようになっています。
ただし、首都圏に限ってはスレートが60%を超えて使用されており、根強い人気があります。
粘土瓦は震災に弱いとされながらも耐久性があり、重厚感のあるイメージから30%前後の根強い支持がありました。
しかし、金属屋根の普及につれて採用率が下がっています。
使用比率が高いからよい屋根材というわけではありませんが、多くの家で採用されていることは屋根材の特性が現代の住宅にマッチしているといえます。
屋根材の特徴
この章では、屋根材ごとにその特徴を紹介します。
スレート
引用:MARUSHIKA
スレート 特徴まとめ
- 系統:スレート系
- 費用相場:4,000円/㎡~
- 重量:20kg/㎡前後
- 断熱性:素材としての熱伝導率は低いが、厚みが薄く屋根本体に密着するので断熱性能は高くない
- 防音性:厚み・重みがある粘土瓦やセメント瓦に近い防音性があり、雨音が気にならない
- 耐久性:製品寿命は20年前後。10年程度でメンテナンスの必要あり、特に2004年前後の製品に注意
スレート 主な特徴
スレートとは、セメントと繊維質状の材料を混ぜて加工し、薄板状に仕上げたものです。
商標名である「コロニアル」「カラーベスト」が通称として使われることもあります。
スレートの原料自体には防水性がないため、表面の塗装によって防水性を持たせています。
薄板状のスレートで葺いた屋根の外観はすっきりとして、和風・洋風の建築スタイルどちらにも合う屋根材です。
かつてのスレートには、肺がんなどの健康被害を引き起こす石綿(アスベスト)が使用されていましたが、2004年以降の製品ではアスベストの使用が禁止されています。
経済的
スレートのもっとも大きなメリットは経済性にあります。
市場に広く普及しているため、ほかの屋根材よりも価格を低く抑えることができます。
ただし、スレートよりも高価だった金属系の屋根材が、普及につれて費用相場も下がる傾向にあるため、経済的な優位性も低くなりつつあります。
色やデザインが豊富
和風・洋風・モダンなど、家屋のスタイルに応じて色や表面の模様を選ぶことができます。
防音性能は粘土瓦並み
スレートの施工では、屋根材同士の重なり部分が多いため、瓦屋根に近い防音性があります。
定期的なメンテナンスが必要
スレートは、他の屋根材に比べて耐久性に劣ります。
塗装などの塗り替えを行わない場合、20年前後で葺き替えなどの対応が必要な場合もあります。
割れやすい
製品によっても異なりますが、薄いスレートは塗装や点検で作業員が乗っただけでも割れる場合があります。
台風や強風の飛来物で破損する恐れもあるのです。
凍害に注意
凍害とは、建築材内部に取り込まれた水分が凍結・乾燥を繰り返すうちにひび割れを起こし、製品寿命が短くなる現象です。
スレートの表面には防水性のある塗装が施されていますが、新品のスレートでもわずかながら吸水性があります。
そのため、寒冷地で屋根材にスレートを使用すると凍害の恐れがあるのです。
2004年以前のスレートはアスベスト含有の可能性
2004年以前に建てられた住宅の場合、アスベストを含むスレートが使用されている可能性があります。
アスベストを使ったスレートがただちに健康被害を及ぼすわけではありません。
しかし、解体時には通常の屋根材の解体処分費用に加えて、アスベストを処分するための費用が余分にかかることを覚えておきましょう。
ガルバリウム鋼板
引用:コメリドットコム
ガルバリウム鋼板 特徴まとめ
- 系統:金属系
- 費用相場:6,000円/㎡~
- 重量:5kg/㎡前後
- 断熱性:金属は熱伝導率が高いため素材自体の断熱性能は低い。しかし断熱材と一体化した商品が開発され、断熱性能も向上しつつある
- 防音性:遮音性は低く、雨音が響いて気になる場合がある
- 耐久性:製品寿命は30~40年前後。10~15年前後で塗装によるメンテナンスを行う必要がある
ガルバリウム鋼板 主な特徴
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛の合金でめっきされた鋼板です。
薄く軽量ですが、めっき層が鋼板の腐食を防ぐためさびにくく、耐久性に優れた屋根材です。
非常に軽量であるため、家にかかる負担が少なく、新築時だけでなく重ね葺きなど屋根のリフォームでも使用されています。
最近ではめっきの組成にマグネシウムを添加することで、さらに耐久性が向上した「スーパーガルバリウム鋼板」も開発され、屋根材に使用されるガルバリウム鋼板の主流となっています。
耐久性が高い
スーパーガルバリウム鋼板の登場により、さらに耐久性が向上しています。
たとえば、メーカーの「サビによる穴あき保証期間が25年」と長い製品も流通しています。
ただし、従来型のガルバリウム鋼板の屋根材もあるため、全てのガルバリウム鋼板の屋根材で耐久性が向上しているわけではありません。
塗装によるメンテナンスは必要
表面を保護している塗膜が劣化すると、主原料が鉄である鋼板がさびて劣化が早まるため、10~15年のタイミングで塗装によるメンテナンスを行う必要があります。
サビが生じると、上から塗装をしてもサビの進行を食い止めることはできないため、塗装の際にサビ落としの手間と費用がかかるのです。
さらにサビを放置すると、鋼板の劣化が進行して穴があき、塗装ではなく葺き替えが必要となるため注意が必要です。
寒冷地でも凍害が発生しない
金属屋根は吸水性がないため、凍害が発生しません。
そのため、東北や北海道ではとくに金属屋根の使用比率が高いです。
耐震性が高い
軽量であるため、地震の際も住宅の揺れが小さくて済み、重い粘土瓦に較べて耐震性能が高いです。
薄いのでへこみやすい
屋根材として使用されるガルバリウム鋼板は薄く、厚みは0.35~0.5ミリ前後しかありません。
台風や強風で飛来物がぶつかったり、屋根工事の際に重いものを屋根に落とした場合には、簡単にへこみや傷ができるので注意が必要です。
もらいサビに注意
さびにくい特性を持つガルバリウム鋼板ですが、釘や針金など他の金属に触れるとすぐにサビが生じます。
海の近くではさびやすい
耐久性の高いスーパーガルバリウムでも、海岸線から近いエリアでは保証対象外となるなど、塩害を受けやすい屋根材です。
遮音性が低い
ガルバリウム鋼板は非常に薄く軽量であるため遮音性が低く、人によっては「雨音がうるさい」と感じる場合があります。
ただし、音の感じ方には個人差があり、吸音材を敷くなどの防音対策が可能です。
屋根のデザインが単調
すっきりとしたデザインはモダンな住宅によく合いますが、純和風の住宅で瓦屋根のようなデザインを求める場合には不向きです。
ジンカリウム鋼板
引用:ハイステージ
ジンカリウム鋼板 特徴まとめ
- 系統:金属系
- 費用相場:7,000円/㎡~
- 重量:7kg/㎡前後
- 断熱性:鋼板の表面に吹き付けた天然砂粒が金属の熱伝導率を下げ、断熱性を高めているとされている
- 防音性:天然砂粒により雨粒が拡散され、他の金属屋根と比較した場合に防音性能が高い
- 耐久性:40年。塗装などのメンテナンス不要
ジンカリウム鋼板 主な特徴
ジンカリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛の合金でめっきされた鋼板で、その組成はガルバリウム鋼板とほぼ変わりません。
日本の建築業界においては、ジンカリウム鋼板もしくはガルバリウム鋼板に天然の砂粒を吹き付けた屋根材をジンカリウムと呼ぶのが通例です。
耐久性が高く、塗装メンテナンス不要
ジンカリウム鋼板は軽量にもかかわらず、塗装のメンテナンスなしで30年以上の耐久性があります。
これは、表面に吹き付けられた砂粒が鋼板の表面を保護しているためです。
高級感がある
ジンカリウム鋼板の屋根材は、表面の砂粒加工により高級感・重厚感を出すことができ、金属系屋根材の単調な外観を好まない人から人気です。
砂粒効果で防音性、断熱性向上
金属系屋根材には、薄いために防音性能が低く雨音が気になる欠点があります。
ジンカリウム鋼板の屋根材は、表面に吹き付けた砂粒が屋根に当たる雨を拡散させるため、雨音が気になりにくい長所があります。
ガルバリウム鋼板よりも費用が高い
石粒吹きつけの加工がされている点と、海外製品が多い理由により、ガルバリウム鋼板よりも費用は高くなります。
薄いのでへこみやすい
ガルバリウム鋼板同様、ジンカリウム鋼板も薄く、台風や強風で飛来物がぶつかったり、屋根工事の際に重いものを屋根に落とした場合には、簡単にへこみや傷ができるので注意が必要です。
下葺き材に劣化がないか点検は必要
耐久性が高いジンカリウム鋼板ですが、下葺き材がジンカリウムの寿命よりも前に劣化すると、ジンカリウム鋼板の層だけで雨を防ぐことはできなくなります。
そのため、下葺き材の寿命といわれている20年を経過した段階で点検をしてもらうとよいでしょう。
粘土瓦
粘土瓦 特徴まとめ
- 系統:粘土系
- 費用相場:8,000円~11,000円/㎡
- 重量:45kg/㎡前後
- 断熱性:素材としての熱伝導率が低く、厚みがあるため断熱性が高い
- 防音性:厚み・重みがあり防音性が高い
- 耐久性:製品寿命は60年前後。塗装も不要であるためメンテナンスにかかる費用も少ない
日本古来の本瓦は、1㎡あたり50,000円以上する場合もあります。
粘土瓦 主な特徴
粘土瓦は、その名の通り粘土を成形し、1,000度以上の高温で焼き上げて作る耐久性の高い屋根材です。
釉薬や使用する粘土の色によって茶や黒、グレーなどの色のバリエーションがあります。
瓦というと和風建築をイメージしますが、形状によって洋風、和風どちらにも合うデザインの瓦を選ぶことができます。
粘土瓦は重量があることから、地震の際に住宅に負担がかかる懸念があります。
瓦の屋根を希望する場合は、建物の構造が瓦の重量に耐えられるような設計にする必要があることを覚えておきましょう。
耐久性が高い:
1,000度以上の高温で焼き上げる粘土瓦は直射日光を受けても劣化せず、表面塗装などのメンテナンスも不要です。
主要な屋根材の中で最も耐用年数の長い屋根材です。
断熱性、防音性が高い:
素材の熱伝導率が低く厚みがあることから、粘土瓦は耐熱性、防音性にも優れるなど、長所が多い屋根材です。
スレートや金属屋根から粘土瓦への屋根材変更は困難
重量がある粘土瓦を屋根材に使用する場合、建物の構造がその重量に耐えられる仕様にする必要があります。
そのため、軽量な屋根材である金属系の屋根やスレートの屋根から粘土瓦屋根に葺き替えるリフォームはできません。
どうしても瓦屋根にしたい場合は、瓦屋根に似た形状のROOGAや、ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板で和風のデザインのものを選ぶとよいでしょう。
ステンレス
引用:タニタハウジングウェア
ステンレス 特徴まとめ
- 系統:金属系
- 費用相場:11,000円/㎡~
- 重量:5kg/㎡前後
- 断熱性:素材自体は金属であるため断熱性は低い
- 防音性:防音性はないため雨音が気になる場合がある
- 耐久性:製品寿命は粘土瓦に次ぐ50年前後だが、美観を維持するためには塗装メンテナンスが必要
ステンレス 主な特徴
キッチンのシンクなどに使用されているステンレスは、屋根材としても長所の多い素材です。
耐久性の高いガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板よりもさびにくく、50年前後という長い耐用年数を誇ります。
耐久性が高い
美観を気にしなければメンテナンスは不要
高価
価格が高いといわれる粘土瓦よりもさらに高価です。
豪雪地帯や沿岸部などステンレスならではの耐久性が求められる場合や、とにかくメンテナンスフリーの屋根にしたい場合でなければ、ステンレス以外の選択肢を検討するのがよいでしょう。
断熱、防音対策に費用がかかる
高価なステンレスですが、金属系屋根の特性として、素材自体は断熱性・防音性が低いです。
屋根に断熱材や防音材を入れることで、さらに施工費用がかさむ場合があります。
美観維持には再塗装が必要
ステンレス自体はさびにくく耐久性が高いものの、塗装したステンレスは塗料の劣化によって美観が損なわれます。
塗料のグレードにもよりますが、見た目の美しさを維持するためには10~20年ごとに再塗装が必要になります。
ステンレスは塗料の付着性が悪いため、信頼できる塗装業者に依頼し、塗装前の下地準備を十分に行ってもらう必要があることを覚えておきましょう。
銅
引用:タニタハウジングウェア
銅 特徴まとめ
- 系統:金属系
- 費用相場:18,000円/㎡~
- 重量:5.5kg/㎡前後
- 断熱性:他の金属系屋根と同様、施工方法や断熱材の使用で熱対策を行う必要
- 防音性:他の金属系屋根と同様、防音効果のある下地を利用する等の対策が必要
- 耐久性:製品寿命は60年以上。塗装によるメンテナンスも不要
銅 主な特徴
銅は、耐久性が高い金属系の屋根の中でも抜きんでて寿命が長く、下葺き材や屋根の基礎に問題がなければ孫の代までメンテナンスなしの屋根になりえます。
神社仏閣の屋根材として採用されることが多く、和風建築の屋根によく映えます。
銅は価格が高価であるため、個人の住宅で採用されることはあまりありません。
耐久性が高い
耐久性が高い金属系屋根の中でもとくに耐久性に優れています。
耐震性が高い
軽量なので地震の際にも建物への負担が少なく、落下の心配もありません。
色の変化を楽しめる
銅が酸化して緑青(ろくしょう)色になる趣は、ほかの屋根材にはない魅力です。
断熱、防音対策に費用がかかる
ほかの金属系屋根に同じく、素材自体は断熱性・防音性が低く、屋根に断熱材や防音材を入れることでさらに施工費用がかさむ場合があります。
他の金属に反応して穴があく場合がある
耐久性の高い銅屋根ですが、他金属(銅屋根を葺く際に使用する釘や金属の部品など)に反応し、「電食」という現象が起こると穴あきなどの原因となります。
トタン
トタン 特徴まとめ
- 系統:金属系
- 費用相場:5,000~6,000円/㎡
- 重量:5kg/㎡
- 断熱性:他の金属系屋根と同様、施工方法や断熱材の使用で熱対策を行う必要
- 防音性:他の金属系屋根と同様、防音効果のある下地を利用する等の対策が必要
- 耐久性:さびやすく、耐久性は低い
トタン 主な特徴
トタンは、亜鉛でめっきをした薄い鋼板です。亜鉛が酸化してできる被膜が鋼板を保護しているため、鉄そのものよりはさびにくい特性があります。
ただし、ほかの金属系屋根材と比較した場合、圧倒的に耐久性が劣ります。
安価なために、過去には屋根材として広く用いられていた時期がありますが、現在では倉庫や物置などに用いられ、一般的な住居で使用されることは少なくなっています。
安価である
他の屋根材よりも耐久性に劣るため、劣化が始まる前に塗装や重ね葺き、葺き替えの補修を行う必要はあるものの、初期費用を安く抑えることは可能です。
軽量で耐震性が高い
他の金属系屋根と同様に薄く軽量であるため、地震の揺れでも建物への負担が少なく、耐震性の高い屋根材といえます。
断熱、防音性が低い
ほかの金属系屋根に同じく、素材自体は断熱性・防音性が低いため、住宅の屋根として利用する際は、断熱・防音対策を行う必要があります。
せっかく安価なトタンにしたのに費用がかさむということも考えられるので注意しましょう。
劣化する前に早めの補修が必要
製品寿命が10~20年と短いトタン屋根では、補修をせずに劣化が進行した場合に雨漏りなどのトラブルにつながる恐れがあります。
サビなどの劣化が進行する前に塗装、重ね葺き、葺き替えなどのメンテナンスを行い、屋根の基礎を守る対策を取る必要がある屋根材です。
セメント瓦
引用:三信建材社
セメント瓦 特徴まとめ
- 系統:セメント系
- 費用相場:6,000円/㎡前後
- 重量:41kg/㎡前後
- 断熱性:粘土瓦には劣るものの、断熱性は高い
- 防音性:防音性は高い
- 耐久性:製品寿命は30年前後。15年前後で再塗装などの必要がある
セメント瓦 主な特徴
高価な粘土瓦の代替品としてセメントを瓦型に成形したものがセメント瓦です。
高温で焼き固める粘土瓦よりも安価に、寸法通りの製品を製造することができる点で、一時期は広く利用されていました。
外見は似ていても粘土瓦とは材質が全く異なるセメント瓦の耐久性は30年程度で、製品そのものの劣化が進行する前に再塗装などの補修が必要な屋根材です。
粘土瓦風の外観が実現できる屋根材がセメント瓦以外でも流通するようになった現在では、セメント瓦の利用は非常に少なくなっています。
かつて市場に流通していたセメント瓦の多くが廃盤となり入手困難な状況です。
多くの製品が廃盤
粘土瓦に外観は似ていても耐久性が低いセメント瓦の需要は減っており、入手できる製品が限られています。
重量があり、耐震性に懸念がある
粘土瓦に準じる重量があるセメント瓦は、地震の際の落下や住宅への負担が懸念される屋根材です。
耐久性が低いため、定期的な補修が必要
セメント瓦本体の劣化が進行する前、15年程度を目安に表面を塗装する補修が必要となります。
ROOGA
引用:ケイミュー
ROOGA 特徴まとめ
- 系統:スレート系
- 費用相場:8,000~9,000円/㎡
- 重量:19kg/㎡前後
- 断熱性:スレートの断熱性能が高いことに加え、厚みがあり屋根本体との間にすきまができる工法により断熱性は高い
- 防音性:厚みがあるため防音性が高い
- 耐久性: 30年の長期にわたって塗装の美しさが長持ちするとされている
ROOGA 主な特徴
ROOGAは、スレートの主要メーカーであるケイミュー株式会社が開発した屋根材です。
素材はスレートと同じく繊維材料とセメントで、粘土瓦に近い形に成形しています。
表面に耐久性の高い無機系塗料の塗装を施しているため、製品の品質が損なわれないとされています。
外見は粘土瓦に近い重厚感がありながら軽量で、重ね葺きにも使用できます。
粘土瓦に近い耐久性
ROOGAは発売から日が浅い屋根材ですが、メーカーの性能試験によって30年を超える長期の使用でも表面の塗装が劣化せず、防水性や美観が損なわれない耐久性があるとされています。
粘土瓦以上の断熱性
ROOGAの原料はスレートとほぼ同じです。
スレートは粘土瓦よりも熱くなりやすいと思われがちですが、スレート自体は熱を伝えにくい素材です。
スレートは薄く、屋根本体に密着するために断熱性能は低下しますが、ROOGAは粘土瓦と同等の厚みがあり、本体内部の気泡の働きによって断熱性能が向上しています。結果、粘土瓦を上回る高い断熱性を実現しているのです。
粘土瓦同様、屋根材と屋根本体の間に空間ができる施工も、断熱性能の向上に効果を発揮しています。
軽量
ROOGAは瓦に似た外観ですが、粘土瓦の半分以下の重量で地震の際にも住宅への負担が少ないです。
固くて丈夫
粘土瓦もスレートも割れやすい欠点がありますが、ROOGAは割れにくく、1枚ずつ屋根本体に釘で固定する工法を取るため、強風や台風で飛散することもありません。
価格が高い
ROOGAは日本瓦に近い費用がかかるため、施工費用を安く抑えたい場合には不向きな屋根材です。
ROOGAを施工する際に必要な部材もメーカー指定品を使用する必要があるため、施工費用も割高になる傾向があります。
施工できる業者・地域が限られる
ROOGAはメーカーの認定を受けた施工業者しか扱うことができないため、施工できる業者が限られます。
また、年間積雪量が30㎝以下の地域でのみ施工が可能となるため、北海道、東北、北陸など雪の多い地域では採用できません。
アスファルトシングル
引用:タイルマート
アスファルトシングル 特徴まとめ
- 系統:アスファルト系
- 費用相場:5,000円/㎡
- 重量:9~13kg/㎡前後
- 断熱性:素材自体に断熱性はないので、断熱材や施工方法で対策を取る必要がある
- 防音性:素材に柔軟性があって表面に石粒加工が施されていることから雨が当たっても音が響かない
- 耐久性:10~30年(製品によって異なる)
アスファルトシングル 主な特徴
アスファルトシングルは、ガラス繊維(グラスファイバー)をアスファルトで固め、表面を塗料と細かな石粒でコーティングした薄い屋根材です。
日本ではまだなじみが薄い屋根材ですが、北米では80%以上のシェアを有しています。
アスファルト自体の防水性が高いことに加え、防水シートとの併用でさらに防水性が高くなり、雨から屋根を守る機能が高い屋根材です。
薄く柔軟性があるために加工が容易で、曲面にも施工ができる長所があります。
アスファルトは燃えやすい素材であるため、以前は日本の防火地域では使用できませんでしたが、防火性能規格に該当する商品が開発されてからは施工実績が増えています。
軽量で耐震性に優れている
アスファルトシングルの重量は粘土瓦の30%程度、スレートの65%程度と軽く、地震の際にも住宅に負担がかかりません。
曲線のある屋根にも施工できる
アスファルトシングルは薄く柔軟性があり、屋根本体への密着性も高いため、複雑な形状の屋根や曲線のある屋根への施工が可能です。
アスファルトシングルの上にアスファルトシングルを重ね葺きできる
軽量で薄いアスファルトシングルは、既存のアスファルトシングルの上に重ね葺きができます。
ただし、既存のアスファルトシングルの劣化が著しい場合や屋根本体まで不具合が及んでいる場合には葺き替えとなります。
断熱性がなく、断熱材との併用が必要
アスファルト自体には断熱性能がないため、断熱材との併用が必要となる点に注意が必要です。
製品によっては使用できる地域が限定される
製品によっては北海道や東北などの多雪地帯では使用できないとするメーカーがあるため、注意が必要です。
カビ・コケが生えやすい製品がある
アスファルトシングルは防水性能が高いものの、表面に雨水がとどまりやすいことから、コケやカビが生じやすい屋根材です。
無機系塗料でコーティングした防汚性能の高い製品もあります。
しかし、表面の塗膜が劣化してくると、日当たりの悪い屋根面ではカビやコケが生えて、美観が損なわれる可能性があります。
寒冷で湿度が低い北米で開発・普及した製品であるため、高温多湿な日本の気候では劣化が早まる可能性があります。
水性塗料しか使用できない
アスファルトシングルは再塗装よりも葺き替えや重ね葺きによるリフォームが多く行われている屋根材ですが、塗装を行う場合には水性塗料を選択します。
これは、アスファルトの原料が油性塗料を使用すると溶け出してしまうからです。
重視したいポイントで屋根材を選ぶ方法
屋根に使用される屋根材にはそれぞれ特徴があり、何を重視するかによって選ぶべき屋根材も変わります。
どんな屋根にしたいかによって選ぶ屋根材は変わる
耐震性で選ぶなら
⇒金属系屋根(ガルバリウム鋼板、ジンカリウム鋼板など)
耐震性で屋根材を選ぶなら、軽量で住宅本体への負担が少ない、金属系屋根材が適しています。
ただし、重量のある粘土瓦であっても、住宅の構造自体が瓦の重量に耐えられる設計であれば地震による危険は少ないといえます。
耐久性で選ぶなら
⇒粘土瓦
⇒ステンレス
使用割合は減少傾向にあるものの、耐久性での粘土瓦の優位性はまだまだ高いです。
美観目的で塗装が必要な場合はありますが、金属系屋根のステンレスも高い耐久性を誇る屋根材です。
断熱性で選ぶなら
⇒ROOGA
⇒粘土瓦
粘土瓦は熱が伝わりにくい材質で厚みがあり、断熱効果に優れています。
ROOGAは、スレートと同じ組成でありながら製品内部に気泡や厚みがあるため、粘土瓦以上に断熱効果が高い屋根材です。
ただし、断熱性に欠けるとされる屋根材でも、断熱材との併用で快適な住空間を実現することは可能です。
防音性で選ぶなら
⇒粘土瓦
⇒スレート
⇒ROOGA
厚みのある粘土瓦やROOGA、施工時に屋根材同士が重なるスレートは防音性が高い屋根材です。
複雑な形状の屋根なら
⇒アスファルトシングル
薄く柔軟性があるアスファルトシングルは、曲面がある屋根やマンサード屋根、ギャンブレル屋根といった複雑な形状の屋根への施工が容易です。
主要な屋根材メーカー
この章では、現在の建築市場で使用数が多いスレート系、金属系、粘土瓦系のトップメーカーをご紹介します。
ケイミュー株式会社
ケイミュー株式会社は、スレート系屋根材のトップメーカーです。
スレート系屋根材であるROOGAもケイミューの商品です。
金属系屋根が市場での売上を伸ばしている中、金属系屋根の取り扱いも始めています。
アイジー工業株式会社
アイジー工業株式会社は、金属系屋根のトップメーカーです。製品の品質もさることながら、メーカー保証が充実している点でも信頼できるメーカーです。
株式会社鶴弥(つるや)
株式会社鶴弥は、日本の粘土瓦シェアの半分を占める三州瓦のトップメーカーです。
地震や台風の際にも瓦が落ちたりずれたりするのを防ぐ形状にした「防災瓦」は、鶴弥の製品です。
伝統的な日本瓦のほか、洋風瓦や屋根の表面に凸凹が少なくモダンな印象の瓦などを幅広く取り揃えています。
屋根のリフォームの種類とタイミング
「屋根のトラブル」というと雨漏りが連想されますが、雨が室内に漏れてくる状態はすでに屋根の機能が失われているといえます。
屋根材や屋根の基礎部分を、多額の費用をかけて補修しなければならない状況になっていることも少なくありません。
大切な資産である住まいを守るためには、劣化の初期の段階で食い止めるリフォームが必要です。
屋根材の特徴や耐久性はそれぞれ大きく異なっています。
この章では、屋根のリフォームにどのような種類があり、屋根材ごとにどんなタイミングでリフォームを行うとよいかをご紹介します。
屋根材別|リフォームのタイミングと種類
屋根材ごとのリフォームのタイミングと劣化のサインを一覧にまとめました。
各屋根材の紹介とあわせて参考にしてください。
次の項からは、リフォームの種類別に作業内容や費用、工期を紹介します。
塗り替え
- スレート系:スレート
- 金属系:ガルバリウム鋼板、ステンレス(美観維持のため)、トタン
- セメント系:セメント瓦
- アスファルト系:アスファルトシングル
- 屋根材自体の劣化が進行している場合
- 屋根の下葺き材や屋根の基礎に劣化や不具合がある場合
塗り替えの手順・工期
- 1、塗り替え前の準備
- 屋根は高所での作業となるため、作業員の安全や作業のやりやすさを確保するために、まず足場を設置します。
高圧洗浄の水や塗料が飛散して周囲を汚すことがないよう、足場の周囲を養生シートで覆います。 - 2、高圧洗浄
- 高圧洗浄は、高圧洗浄機で圧力をかけた水を屋根に噴射し、屋根に付着しているカビやコケ、ホコリなどの汚れや剥がれかけた塗料の膜(塗膜)を剥がす作業です。
高圧洗浄が不十分で汚れや塗膜が残っていると、塗り替え後にすぐ剥がれてしまうなどの不良につながるのです。
ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板など、薄く圧力に弱い屋根材では水圧を弱めて洗浄します。 - 高圧洗浄が完了したら十分に乾燥させます。
乾燥が不十分な状態で作業を行っても塗膜の早期不良につながるため注意が必要です。 - 3、下地調整
- 下地調整は、屋根の表面を塗装可能な状態に仕上げる作業です。
スレート、セメント瓦:ひびや割れた箇所をコーキングで補修します。
金属系:金属系屋根は表面に塗料がなじまず剥がれてしまうため、「ケレン」で下地調整します。 - サンダーと呼ばれる電動やすりやワイヤーブラシなどを使って、古い塗料の膜やサビを完全に除去します。
表面をわざとざらついた状態にし、塗料がなじみやすくするのです。 - アスファルトシングル:反りやめくれが出ている箇所は部分的に張り替えます。
- 4、養生
- 塗装を行わない部分に塗料がつかないよう、マスキングテープなどを貼って覆い、保護します。
- 5、下塗り
- 塗装をむらなく仕上げるために、専用の塗料で下塗りを行います。
スレート・セメント瓦・アスファルトシングル:シーラーと呼ばれる下塗り塗料を屋根材にしっかり染み込ませます。
アスファルトシングルには水性の下塗り剤を選択します。 - ガルバリウム鋼板、トタン:サビ止め効果のあるプライマーと呼ばれる塗料で下塗りを行います。
- ステンレス:金属の中でも塗装が難しいといわれているステンレスでは、ステンレス専用のプライマーを用いて下塗りを行います。
- 6、上塗り
- 屋根用上塗り塗料を用いて仕上げ塗装を行います。
塗料の規定によっては中塗り塗料を使う場合や上塗り塗料を2度塗りする場合もあります。
アスファルトシングルの場合は水性塗料のみ使えます。 - 塗料については、
「塗料の種類はこんなにある!業者に依存しない賢い選び方」
をご参照ください。 - 7、縁切り
- 縁切りは、屋根材と下葺き材の間に入り込んだ雨水を排出させるために、屋根材と屋根材が重なっている部分をふさいでいる塗料を刃物などで取り除き、すき間を確保する作業です。
- この縁切りが不十分であると、雨漏りの原因となることもあります。
スレートの場合、タスペーサーと呼ばれる部材を屋根材の重なり部分に差し込むことで、すき間を確保できるため、縁切り作業を省けます。
塗り替えの工期
塗り替えには10日~2週間程度の期間がかかります。
塗り替えの費用相場
30坪前後の平均的な戸建て住宅の屋根(100㎡前後)では、40~60万円前後が相場となります。
塗り替えにかかる費用は、選択する塗料のグレードや屋根の面積によって大きく異なります。
重ね葺き
重ね葺きは、古い屋根材を撤去せずに、上から新しい屋根材をかぶせるリフォーム方法です。
古い屋根材を撤去する費用がかからないため、葺き替えよりも費用が安くなるメリットがあります。
とくに、アスベストを含むスレートの場合、一般的なスレートよりも撤去作業や廃棄処理にかかる費用がかさむため、重ね葺きが推奨されます。
重ね葺きに用いる屋根材は、屋根に荷重がかからない軽量なものを選択する必要があります。
ガルバリウム鋼板やジンカリウム鋼板を用いる重ね葺きが一般的ですが、アスファルトシングルやROOGAを用いて重ね葺きをする例もあります。
- スレート系:スレート、特にアスベスト含有スレート
- 金属系:トタン
- アスファルト系:アスファルトシングル
アスベスト含有スレートは撤去・処分費用が高額となるため、葺き替えではなく重ね葺きを選択するのも一つの方法です。
- 屋根の下葺き材や屋根の基礎に劣化や不具合がある場合
- 厚み・重量のある粘土瓦やセメント瓦
なお、製品寿命の長い金属系屋根材(トタンを除く)でも重ね葺きを行うケースはまれです。
重ね葺きの手順
- 1、準備
- 先述と同様に足場を設置します。
足場の周囲を養生シートで覆います。 - 2、下葺き材の貼りつけ
- 既存の屋根の上に下葺き材を貼りつけます。
アスファルトシングル:アスファルトシングルを重ねる工法の場合、既存の屋根材に反りや浮きがあると、新しく貼りつけたアスファルトシングルが浮く場合があるので、補修を行った上で下葺き材を貼りつけます。 - 3、上から新しい屋根材を重ね葺き
- 選択した屋根材ごとに規定されている施工手順に従って、新しい屋根材で屋根を葺きます。
重ね葺きの工期
重ね葺きにかかる日数は1週間程度で、塗り替えのリフォームよりも短期間で終了します。
重ね葺きの費用相場
30坪前後の平均的な戸建て住宅の屋根(100㎡前後)で、50~150万円前後が相場となります。
重ね葺きにかかる費用は、重ねる屋根材の種類や屋根の面積によって大きく異なります。
葺き替え
葺き替えは、古い屋根材を撤去した後に新しい屋根材で葺くリフォームです。
- 屋根材全般
- 下葺き材や屋根本体も補修が必要な場合
製品寿命の長い金属系屋根材(トタンを除く)やROOGAでは葺き替えを行うケースはまれです。
たとえば、スレートや金属で葺いた屋根を粘土瓦で葺き替えすることは困難です。
葺き替えの手順
- 1、準備
- 先述と同様に足場を設置します。
足場の周囲を養生シートで覆います。 - 2、屋根材・下葺き材の撤去
- 既存の屋根材と下葺き材を撤去します。
- 3、野地板の補修・張り替え
- 下葺き材の下には、野地板と呼ばれる木材の薄板が張ってあります。
- 下葺き材が劣化していた場合など、この野地板が腐敗している場合もあるため、不具合があれば野地板も撤去し、新しいものに張り替えます。
- 4、下葺き材の貼りつけ
- 防水性のある下葺き材をすき間なく貼りつけます。
- 5、軒先の加工
- 屋根材を貼る前に、軒先を保護する部材を取り付けます。
- 6、屋根材で葺く
- 新しい屋根材で屋根を葺きます。
- 7、棟工事
- 屋根と屋根が接する棟部分の工事を行います。
屋根の形が複雑である場合には棟工事が増えるため、施工費用がかかります。
葺き替えの工期
葺き替えにかかる日数は1週間~10日前後です。
葺き替えの費用相場
30坪前後の平均的な戸建て住宅の屋根(100㎡前後)で100万円以上はかかると想定しておきましょう。
葺き替えにかかる費用は、新しく採用する屋根材の種類や屋根の面積によって大きく異なります。
既存の屋根材の解体、撤去にかかる費用が追加されるため、塗り替えや重ね葺きよりも費用がかかります。
要注意!アスベスト含有スレートの撤去・処分
アスベスト含有のスレートは、撤去・処分に特別な対応が必要です。
スレートはアスベストがセメントで固められており、飛散の危険度は低い建材と位置付けられているため、危険度は低いとされています。
それでも、撤去・処分時にはアスベスト対策をしながら作業を進める必要があるため、作業費用は通常の撤去・処分作業よりも高額になります。
計画書の作成
アスベスト含有スレートを安全に撤去・処分できるよう、事前に作業計画書を作成する必要があります。
石綿作業主任者の選定
健康被害の可能性があるため、アスベストを含む建材の撤去に関する教育を受けた作業主任者が現場で作業を管理する必要があります。
粉じん対策
アスベスト含有スレートの解体作業時には、粉じん対策のために特殊なマスクや作業着を身につけます。
また、粉じんが飛散しないように散水しながら、手作業で解体を行います。
アスベスト含有スレートの処分
アスベストが飛散しないよう、密閉性の高い容器に入れて処分します。
アスベスト含有スレートを撤去・処分するのにかかる費用
アスベスト含有スレートの撤去・処分には一般的なスレート屋根よりも25~30万円以上費用がかかると見込んでおきましょう。
この金額は一例で、処分施設の状況によってはさらに高額になる場合もあります。
アスベスト含有スレートの撤去・処分は作業費用が割高となるため、葺き替えではなく重ね葺きを選択するのも一つの方法です。
良い屋根工事業者の選び方
ここまで、屋根材ごとに特徴やリフォームの方法も異なることを紹介しました。
では、いざ屋根のメンテナンスや補修を行う場合、屋根材によって屋根工事業者の選び方も異なるのでしょうか?
この章では、屋根材に合う工事をしてくれる屋根工事業者を見つけるためのポイントを紹介します。
訪問業者に発注しない
訪問販売で屋根のリフォームを勧めてくる業者に、実績や経験が豊富で安心して任せられる業者はいない、と考えてもよいでしょう。
残念ながらリフォーム業界ではいまだに悪徳業者による被害が後を絶ちませんが、その多くが訪問セールスを行う業者によるものです。
信用・品質・コストのどの点を取っても訪問販売の業者に依頼してよいことは一つもありません。
屋根材やリフォーム内容に応じて選ぶべき屋根業者も変わる
一口に「屋根のリフォーム」といっても、リフォームの内容や屋根材によって依頼すべき業者が変わる場合があります。
塗り替え
塗装専門業者で、屋根工事の経験と実績が豊富な業者を選ぶとよいでしょう。
塗装専門業者は重ね葺きや葺き替えはできませんが、塗装のプロなので安心して塗装作業を任せることができます。
金属系屋根
金属系屋根では、薄い金属板を加工する「板金」という技術を持つ職人が施工を行います。
板金加工ができる職人がいる屋根業者に依頼しましょう。
ROOGA
ROOGAはメーカーの認定を受けた「ROOGAショップ」だけが施工できる屋根材です。
メーカーサイトで認定業者の検索ができます。
https://www.kmew.co.jp/cgi-bin/rooga/main_viewer.cgi
粘土瓦
粘土瓦の補修や葺き替えは瓦職人が行います。
屋根材として減少傾向にある粘土瓦を扱える瓦職人も減りつつあります。
いざというときに困らないよう、住まいの近くで瓦を扱える屋根業者を探しておくとよいでしょう。
複数業者に見積もりを取る
現地調査や見積もりは複数の業者から取ることをおすすめします。
施工内容や費用相場を比較検討するだけでなく、担当者との相性や屋根工事に関する知識の有無なども確認することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。屋根材には多くの種類があり、それぞれ特徴やリフォームのタイミング、費用が異なることを紹介しました。
屋根の耐久性を高める塗装リフォームをご検討の場合は、ぜひいえふくにご相談ください。
実績豊富な施工業者が、心をこめて皆さまの住まいを守るお手伝いをします。