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家の暑さや寒さは屋根の断熱が原因?塗装で断熱性能をアップしよう
公開日:2018/10/12 / 最終更新日:2021/07/28
家の中にいても、夏の暑さや冬の寒さを感じることがありますよね。
その原因は、家の断熱がしっかりされていないことにあるかもしれません。
特に屋根は、断熱がしっかりされていないことで、夏は日差しを受けて熱がこもりやすく、冬は熱を放出してします。
住まいの快適性をアップさせるためには屋根の断熱を見直すことが近道と言えます。
この記事では、建物の断熱の中でも、屋根や天井に断熱材を施工して断熱する屋根断熱と、塗料を塗るだけで断熱性能を高めることのできる断熱塗装についてお伝えします。
断熱工事の際に知っておきたい小屋裏や屋根の通気層の解説や、費用相場についても解説しています。
自宅に適した断熱方法を選ぶために、お役立てください!
暑さ・寒さの原因は屋根の断熱?
近年日本の夏も暑くなり、35℃を越す真夏日が続く地域も珍しくなくなりました。
昼間は仕事で家を空けていて、外が涼しくなる夜まで家の中が暑く、帰宅してすぐエアコンをつけなければ過ごせない人もいるしょう。
住宅の暑さの一因として挙げられるのが、屋根の断熱不足です。
屋根が暑くなる原因と、屋根の断熱不足から起こる現象について解説します。
真夏の屋根の温度は60~80℃!屋根裏は灼熱に!
夏日が続く時期には太陽の日射熱も厳しく、日射熱の直接当たる屋根の温度は70℃以上になることもあります。
もちろん、その熱が直接家の中に入ってくるわけではありません。
しかし、屋根にどんな断熱材を使っているかで、どれだけ熱を遮断できるかが変わります。
昼間に屋根に照りつける太陽熱は、屋根の表面から屋根内部に少しずつ熱が移動します。
その熱はまず小屋裏に留まり、小屋裏から家の中に少しずつ侵入してきます。
小屋裏とは屋根と天井との間にできるスペースのことで、ロフトや収納に使われることもありますが、通常は天井板でふさぎます。
昔の家は断熱材をあまり使っていなかったため、真夏の小屋裏はとても入れないほど暑かったことを覚えている人もいるかもしれません。
最近の住宅は断熱性能を高めているためとはいえ、昔ほどではありませんが、やはり小屋裏は温度が高くなります。
夜になると、外は涼しいのにもかかわらず、小屋裏にためられた熱気が少しずつ下の部屋に下りてくるのです。
冬は天井から熱が放出される
冬は暖房やストーブなどで室内を温めることが多くなりますが、屋根の断熱性能が低いと、その熱が天井から放出されます。
屋根に断熱材がある住宅なら、真夏の屋根から伝わってくる熱を遮断でき、冬には暖房で暖めた室内の熱の屋外への放出を防ぐことができます。
住宅に断熱材を施工するときは、屋根(天井)と壁、床(基礎)、全てに高い断熱性能を持つ断熱材を採用することが大切です。
屋根(天井)と壁、床(基礎)全てに断熱材を採用することで、住宅全体が断熱材で守られ、まるで魔法瓶のように外気の影響を受けない住宅にできます。
高い断熱性能を持つ住宅にすれば、外気の影響を受けずに夏は涼しく、冬は暖かい快適な環境を手に入れられるだけでなく、冷房や暖房の効率も高まるため省エネにつながるのです。
屋根断熱の種類と特徴
屋根の断熱は、大きく天井断熱・屋根断熱・塗装による断熱に分けることができます。
それぞれの特徴を確認しましょう。
天井断熱とは?
天井断熱とは、天井に断熱材を敷くことで天井裏の熱を室内に伝えないようにする断熱方法です。
2階建てであれば2階の、平屋建てであれば1階の天井部分のすぐ上に断熱材が敷かれます。
一般には、グラスウールやロックウールが断熱材として使用され、天井に直接敷き詰められます。
屋根断熱とは?
屋根断熱は、屋根の下(室内側)に断熱材を施工する断熱方法です。
屋根の下の面から断熱するため、小屋裏の環境も家の中に近いものとなり、趣味部屋や収納部屋として活用しやすく、熱が小屋裏にこもるのを遮ることができます。
屋根断熱では、天井断熱と同じくグラスウールやロックウールが使われるのに加えて、施工のしやすさから発泡ウレタンなども使われます。
塗装による断熱熱とは?
断熱効果がある塗料で屋根の表面を塗装する方法です。
断熱塗料は、断熱材同様に塗料の持つ断熱性で、外の暑さ、寒さが侵入するのを防ぎ、室内の温度環境を一定に保つ効果があります。
断熱塗料と似たものに「遮熱塗料」があります。
遮熱塗料は、屋根の表面に塗装することで、太陽の光を反射させて室内の温度上昇を抑制する効果があります。
断熱塗料との大きな違いは、冬の室内の温かさを保温する役割がないことです。
どちらも屋根の表面に塗装し、屋根の塗装メンテナンスとして施工できます。
小屋裏換気と屋根通気
屋根や天井に断熱工事を行うと、室内で発生した湿気を外に逃がすための隙間を確保する工事も併せて行う必要があります。
逃げ場のない湿気は、結露となって建物の構造体に浸みこみ、木材の場合、雨漏りのような状態になってしまい、腐食などの劣化を進めることがあります。
その対策として、天井断熱の場合は「小屋裏換気」、屋根断熱の場合は「屋根通気」がそれぞれ適した方法です。
順番に詳しく解説します。
天井断熱には小屋裏換気
屋根と天井の間にできる空間のことを小屋裏と言います。
小屋裏換気とは、小屋裏に換気するための換気口を設置して、空気の流れを作る方法です。
小屋換気は小屋裏部分に換気金物を取り付けることで完了します。
機械設備を取り付けなくても、室内と室外の温度差や、風圧力によって小屋裏に内に十分な空気が送り込まれ、換気ができる仕組みになっています。
屋根断熱には屋根通気
屋根通気とは、屋根に敷き詰めた断熱材と、野地板(屋根材・防水材の下に施工される下地のベニヤ板)の間に通気層を設けることです。
軒裏に空気の入り口となる換気金物を取り付け、棟(屋根の一番高い部分)に空気の出口となる換気金物を取り付けて、空気を流す仕組みになっています。
屋根全体が滞りなく通気できるように、確実に通気層を確保し、金物の設置位置も計画的に配置することが大切です。
断熱材・断熱塗料の種類と特徴
天井断熱と屋根断熱で使われる断熱材と、塗料の種類や特徴について紹介します。
断熱材の種類と特徴
断熱材は、大きく3つの種類に分けられます。
- 無機繊維
- 天然繊維
- 発砲プラスチック
無機繊維の断熱材は、無機物を繊維状にして綿のような状態にしたものです。
比較的安価で、施工性がよく、断熱性・防音性に優れ、総合的に見たバランスが良いため、広く普及しています。
微量ではありますが、化学物質を使っているため、シックハウス症候群を起こす恐れがあります。
代表的なものに、ガラスを繊維状にした「グラスウール」と鉱物を繊維状にした「ロックウール」はあります。
天然繊維の断熱材は、自然界で作られた有機物を繊維状に加工したものです。
天然素材ならではの調湿性に優れた特徴があり、比較的高価です。
代表的なものに、木材を原料とした「セルロースファイバー」や、同じく木材のコルクを原料とした「炭化コルク」、羊毛を原料とした「ウールプレス」があります。
発砲プラスチックの断熱材は、プラスチック素材を発泡させたものです。
主に、屋根断熱の外張り断熱工法(垂木の上に断熱材を施工する方法)に使われます。
プラスチック素材のため、水濡れや湿気に強く、軽いです。価格帯は無機繊維と天然繊維の間に位置します。
代表的なものに、「硬質ウレタンフォーム」、「スタイロフォーム」があります。
断熱に使われる塗料の種類と特徴
断熱を目的として使われる塗料には、断熱効果のある「断熱塗料」と遮熱効果のある「遮熱塗料」が用いられます。
断熱塗料は、室内の温度を保ち、外からの影響を受けにくくする効果があり、断熱効果のみを持つものもありますが、ほとんどは遮熱効果も持ち合わせています。
代表的なものに、「ガイナ」、「キルコート」、「ロハスコート」があります。(この3つの製品はどれも遮熱効果も持ち合わせた塗料です)
遮熱塗料は、太陽光を反射させ、室内の温度上昇を抑制する効果があります。
遮熱塗料は、断熱効果はありませんが、断熱塗料と比較すると安価で、屋根塗装工事で広く普及しています。
代表的なものに、「サーモアイ」、「アレスクール」があります。
断熱方法の選び方
屋根の断熱には、いろいろな方法があり、迷ってしまいますよね。
それぞれのメリット、デメリット、向いているケース、価格帯についてまとめました。
断熱方法を選ぶ際の参考にしてください。
天井断熱・屋根断熱・塗装による断熱のメリット・デメリット
天井断熱
メリットは次の3つです。
- 施工が簡単
- 施工面積を最小限で済ませられるため安価
- 断熱性能が高く費用対効果に優れる
デメリットは次の3つです。
- 小屋裏の空間を活用できない
- 勾配天井にしにくい
- 断熱材の施工によっては配線が邪魔になることもある
費用を抑えて高い断熱効果を得たい場合や、小屋裏は使わない場合に向いている断熱方法です。
屋根断熱
メリットは次の4つです。
- 小屋裏やロフトなど空間を活用しやすい
- 勾配天井にできる
- 小屋裏に熱がこもるのを防げる
- 夏の暑さに強い
デメリットは次の3つです。
- 施工面積が広くなるので費用が高くなる
- 施工が比較的困難
- 空調費用が高くなる
しっかり断熱したい場合や、小屋裏を有効活用したい場合、勾配天井の場合に向いている断熱方法です。
塗料による断熱
メリットは次の3つです。
- 屋根の塗装メンテナンスとして行える
- 遮熱塗料の場合夏の暑さ対策として効果的
- 施工が簡単
デメリットは次の2つです。
- 断熱材を敷き詰める工事に比べて効果が薄い
- 遮熱塗料を選んだ場合、冬の保温効果は得られない
工事に手間を掛けたくない場合や、屋根塗装工事と一緒に行いたい場合に向いている方法です。
断熱材の種類別メリット・デメリット
無機繊維
メリットは次の4つです。
- 価格が安い
- 取り扱っている業者が多い
- 施工性が良い
- 断熱性・防音性・防火性に優れる
デメリットは化学繊維を含んでいることです。
予算費を抑えたい場合や、アレルギーの心配がない場合に向く断熱材です。
天然繊維
メリットは次の2つです。
- アレルギーやシックハウス症候群の心配が少ない
- 断熱性・防音性・調湿性に優れる
デメリットは次の3つです。
- 価格が高い
- 虫害に弱い
- 取り扱っている業者が限られる
アレルギーが心配な場合や自然派素材が好きな場合に向いています。
発泡プラスチック
メリットは次の5つです。
- 湿気に強い
- 施工性が良い
- 薄くて軽い
- 取り扱っている業者が多い
- シックハウス症候群の原因となる物質が含まれない
デメリットは次の2つです。
- 価格がやや高価
- 虫害に弱い
無機繊維より高い断熱高価を得たい場合や、シックハウス症候群が心配な場合、外張り断熱の場合に向いている断熱材です。
断熱塗料
メリットは次のつです。
- 屋根の塗装メンテナンスとして行える
- 遮熱塗料の場合夏の暑さ対策として効果的
- 施工が簡単
デメリットは次の3つです。
- 断熱材を敷き詰める工事に比べて効果が薄い
- 遮熱塗料を選んだ場合、冬の保温効果は得られない
- 一般的な塗料に比べると高価
工事に手間を掛けたくない場合や屋根塗装工事と一緒に行いたい場合に向いています。
断熱工事費用の目安
35坪程度の木造2階建て住宅の場合の費用相場をお伝えします。
断熱の種類 |
費用目安 |
---|---|
天井断熱 |
10~30万円 |
屋根断熱 |
20~50万円 |
断熱塗料 |
25~40万円 |
遮熱塗料 |
15~35万円 |
まとめ
住まいの夏の暑さ、冬の寒さを緩和し、快適な環境を作るための、屋根断熱の方法や、費用相場などについてお伝えしました。
特に近年、酷暑とも言われる夏場の暑さ対策を行いたい場合、断熱材と合わせて、遮熱塗装を行うことで、より優れた効果を期待することができます。
予算や、求める断熱性と合わせて、適した断熱工事が選べるといいですね。