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軒天とは?役割や材質、修理費用を徹底解説

戸建住宅は、住んでいるとさまざまな箇所のメンテナンスが必要になるものです。
普段は目につかない軒天も、劣化に気づきにくい場所の1つ。
ここでは、そんな軒天の役割や修理の必要性について解説しています。
修理が必要な状態か否かを星印で示した、軒天トラブル一覧表もついているので、ぜひ参考にしてください。

目次
  1. 軒天とは
  2. 軒天の材質
  3. 軒天の緊急度順劣化状態
  4. メンテナンス方法
  5. 修理費用の相場
  6. DIYで行う場合
  7. まとめ

軒天とは

軒天(のきてん)は、屋根の外壁から外側に出ている部分(軒裏)の天井部分のこと。
軒裏天井(のきうらてんじょう)と呼ばれることもあります。
この軒天には、3つの役割があります。

1つ目は、雨風が直接当たらないように外壁を保護する、いわば「傘」のような役割です。
また、下地材がむき出しになっていると、そこから雨風が吹き込み、屋根が劣化しやすくなりますが、軒天がしっかりと屋根の裏部分をガードしていることで、湿気や強風から家を守る効果もあります。

そして2つ目の役割は「目隠し」。軒天があることで、屋根裏の野地板や垂木といった下地を人の目から隠してくれます。

3つ目の役割は延焼防止です。
住宅で火災が起きた時、軒天がないと室内の火が窓から屋根に燃え移りやすく、短時間で家屋全体に火が回ってしまいます。
軒天によって、屋根は火から守られているのです。

軒天の材質

軒天の材質は「不燃系」と「材木系」の2種類に大きく分けられます。
15年ほど前まではほとんどの現場で材木系の材質が用いられていましたが、現在では防火および延焼防止のため、ほぼすべての軒天が不燃系で作られています。
不燃系の代表的な材質は次の4つで、いずれも耐久性、耐火性、耐水性に優れているのが特徴です。

不燃系

ケイカル板(ケイ酸カルシウム板)

ケイカル板は珪藻土、水酸化カルシウムなどを水で混ぜ、固化したものをボード状にしたものです。
新築住宅によく用いられています。
以前のケイカル板にはアスベストも含まれていましたが、現在は使用が禁止されているため日本製、国産のケイカル板には使われていません。
ちなみに、アスベストが含まれたケイカル板(ケイ酸カルシウム板)の製造が中止されたのは2002年です。
それほど昔のことではないので、製造終了間近にケイカル板を安い価格で大量に買い占めた悪徳業者が、コストを下げるために材質を偽って施工することも考えられます。
施工の際は信頼できる業者に依頼するようにしてください。

エクセルボード(スラグ石膏板)

エクセルボードは、法定不燃材に認定されている材質です。
必要な素材を抽出しおわった後の鉱物の残り(スラグ)と石膏を混ぜ合わせて固めたもので、ケイカル板とともに広く普及している材質です。

フレキシブルボード

フレキシブルボードは、セメントと補強繊維からなる軒天の材質です。
ケイカル板よりも2倍ほど重量があり、強度の高い素材として知られています。

金属板

ガルバリウム鋼板、アルミスパンドレといった金属板で軒天を覆う、いわゆる「カバー工法」に使われる材質です。
ほかの不燃系材質と比較すると軽量で、耐火性が高いのが特徴です。サビない外壁材として注目されています。

木材系

木材系は合板ベニヤ板が一般的です。

合板ベニア板

合板ベニア板は不燃系の軒天材よりも安価ですが、経年劣化が早いこと、防火性が低いことに注意が必要です。
板の上から模様の入ったシートを巻いてヒノキ調など自由にデザインすることができます。

軒天の緊急度順劣化状態

軒天は、劣化の度合いによって家屋に及ぼす影響や、施すべきメンテナンスが異なります。
そのため、劣化が住宅に及ぼす危険度を星印でここにあらわしました。
「★」の数が多いほど、緊急性が高く早急なメンテナンスが必要になります。

劣化1. 色あせ(★★)

外壁や屋根と違って、軒天は紫外線を受けにくいところですが、経年によって部分的に色あせたり、汚れが付着したりすることがあります。
修理する必要はありませんが、掃除や再塗装で見た目を整えておくとよいでしょう。
塗装をしなおすことで強度の増加や、防カビなどの効果も期待できます。

劣化2. 剥がれ(★★★)

合板によく見られる劣化が「剥がれ」です。
プリント合板がところどころ破れていたり、軒天ボードの塗膜が剥がれ落ちていたりするのは、見た目だけでなく強度も心配です。
修理業者に依頼をし、再塗装や交換などのメンテナンスをおすすめします。

劣化3. 穴(★★★)

外壁の劣化や雨漏り、結露のために腐食することで、軒天の一部に穴があいてしまうこともあります。
この場合は雨水が入り込むだけでなく、動物が屋根裏に侵入し巣を作ることもあるので、業者に連絡して早急な対策が必要です。

劣化4. シミ(★★★★)

軒天のシミは、雨漏りが疑われます。
一部分だけ色が濃くなっている部分は、屋根にたまった水分が排出されないままたまり、シミとなって浮き出てきた可能性があるので、早急に修理を依頼しましょう。
雨漏りが進行している場合は、塗装によるメンテナンスではなく、軒天を丸ごと取り替える必要があります。

劣化5. カビ(★★★★★)

カビや藻の発生は、雨水の浸水や結露により湿気がたまっていることから起こる現象です。
また、外からは見えない部分も雨漏りしている可能性があります。
通気がうまくいかず、室内にまでカビが繁殖する恐れもあるので、迅速に修理業者へメンテナンスを依頼する必要があります。

メンテナンス方法

軒天のメンテナンスには次の3種類の方法があり、劣化具合によって必要な修理が異なります。

修理方法1. 再塗装

木材系、不燃材系のどちらにも可能なメンテナンス方法です。
塗装をしなおすことで見た目が美しくなり、なおかつ耐久性の向上も期待できます。
色あせや剥げの場合は、この再塗装のみで修理が完了するケースがほとんどです。
使用する塗料にはEP(エマルションペイント)、AEP(アクリルエマルションペイント)、NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)といった種類があります。

EP(エマルションペイント)

水で薄められる水溶性で安全な塗料ですが、接着性は弱めです。
価格は、NADより安い傾向にあります。光化学スモッグの原因となる揮発性有機化合物(VOC)であるトルエン、キシレン、酢酸エチルなどをほとんど含んでいない塗料です。

AEP(アクリルエマルションペイント)

EPと同様、水溶性です。
元来、EPは酢酸ビニル系エマルションペイントをあらわし、AEPはアクリルエマルションペイントをあらわす記号でした。
しかし現在流通している合成樹脂のエマルションペイントは、その多くがアクリルエマルション系です。
名称が混同して用いられていることが多く、両者それぞれに特徴があるわけではありません。
NADと比較すると安く、接着面が弱めという特徴もEPと変わりません。
これも、光化学スモッグの原因になる揮発性有機化合物をほとんど含んでいない塗料です。

NAD(アクリル樹脂系非水分散形塗料)

NADは再塗装よりも、改修によく用いられる塗料です。
EPと比較すると耐水性や接着性が高く、内壁と外壁の両方に塗装可能な製品もあります。

これらの塗料は、さまざまな色の中から好みのものを選ぶことができます。
軒天は、屋根の影になり日光が当たらない部分です。
そのため、光を反射しやすい白色に塗装すると家屋が明るい雰囲気になります。
反対に、屋根色と同系色の濃い色で塗装すると、落ち着いた雰囲気にできます。
また、外壁と軒天の色を揃えるとスマートに感じられるので、すっきりした印象に見せたいときには、外壁と色を合わせて塗装するのがおすすめです。
塗装および再塗装は、まずサンドペーパーなどの道具を使って、素地を調整することから始まります。
この工程で簡単に落ちる汚れや、ところどころ残っている既存の塗膜をきれいに剥がし、新しい塗料がよりしっかりと接着するようにします。
このとき、汚れを落とすために高圧洗浄をおこなうことは厳禁です。
通気部分から建物内部に水分が侵入してしまうからです。
ホースの水でも入り込みますので、日頃のメンテナンスでもご注意ください。
次に、サビ止めをおこないます。
これは、軒天を固定する鉄の部品やクギにサビ止めを塗布する処理です。
これらの準備を終えてから、下塗り、上塗り2回を施して塗装は完了です。
軒天は屋根や外壁と比べると塗装しにくい部分があり、ローラーと刷毛の両方を使い分けて施工を進めます。

修理方法2. 不燃材被せ

木材でできた軒天に施工されるのが、上から不燃材を被せる修理方法です。
これは、カバー工法のひとつとして施工されます。
既存の木材を取り去ることなく修理できるので、張り替えるよりも比較的費用が安くすむというメリットがあります。
木材の上から不燃材系の材質を被せることで、見た目だけでなく耐久性・耐火性の向上も期待できます。
ただし、軒天全体にカビが繁殖している場合や損傷が激しい場合など、カバー工法ができないケースもあるので注意が必要です。
下見や見積もりの段階で、業者の見立てを聞いてみましょう。

修理方法3. 張り替え

3つの修理方法のうち、最も費用がかかるのが張り替えです。
雨漏りによってシミやカビが広がっている場合は、既存の軒天をすべて撤去し、下地を整えた上で新しい軒天に張り替える必要があるからです。
費用はかかりますが、耐久性にすぐれた新しい材質で軒天を整えられるので、改修効果が最も高い修理方法です。
張り替えの材質としては、木材ではなくケイカル板、エクセルボード、フレキシブルボードなど不燃系の材質がよく選択されます。

修理費用の相場

3つの修理方法の費用相場について順にチェックする前に、どの修理方法においても共通で考えておかなければならない「足場費用」について確認しましょう。

足場の費用

2階以上の高さの軒天をメンテナンスする場合、足場を組む必要があります。
足場の設置費用は1㎡につき600〜800円ほどが相場とされているので、住宅の大きさからおよその価格を予想することができます。

足場を組むときのポイント

ちなみに、軒天修理で足場を組む場合は、外壁や屋根の塗装も併せて依頼するのがお得です。
なぜなら、足場を1回設置すれば、外壁や軒天、屋根といったさまざまな箇所も塗装することができるからです。
一度にメンテナンスできれば、足場費用は1回分のみで済ませることが可能です。

軒天修理の費用相場

では足場費用についてポイントをおさえたところで、次に塗装の費用相場をチェックしてみましょう。
塗料の価格にもよりますが、1㎡あたり800〜1,500円が軒天の平均的な塗装単価とされています。
ただし、金具や鉄製の部品が多く、サビ止めや下塗りに手間がかかる場合や、フッ素などの高耐久性塗料を選択した際は、単価が上がります。
不燃材を被せるカバー工法も、どのようなカバー材を被せるかによって価格に違いが出ます。
しかし塗料ほど材料による価格変動は少なく、具体的な例では、建坪30平米の平均的な軒天ならば18〜23万円の費用が相場とされています。
ただしこれはあくまで参考価格であり、軒天の大きさや形状によって価格が変わることもあります。
なお、高所の場合はこれに足場費用がプラスされます。

各修理費用の目安をまとめると、次のようになります。

  • 再塗装:10〜17万円
  • 不燃材被せ:12万円前後
  • 張り替え:18〜23万円

これらは、いずれも建坪30平米の一般的な住宅における修理費用の想定価格です。
この価格に消費税と足場設置費用をプラスしたものが、修理費用全体の目安となります。
再塗装はかなり料金の幅が大きいですが、これは塗料の種類によって塗装単価に違いが出てくるためです。
耐久性とコストのバランスを見ながら、塗料をセレクトすることをおすすめします。

DIYで行う場合

軒天は外壁よりも面積がせまく、幅も50cm前後と広くないことから、塗装くらいであれば自分でできるかも?と考える方もいらっしゃるかもしれません。
しかし軒天の再塗装は、DIY初心者にとってかなりハードルが高いといえます。

軒天の塗装において難しいポイントは、「上を向いて塗装する」ことです。軒天の塗装は、上を向いたままという無理な姿勢でおこなわなければなりません。
また、重力に逆らってペンキを塗りつけるので、液だれしないように少量ずつ塗装していく必要があります。
腕を上げたまま何時間も軒天にペンキを塗り続けるのはかなりの重労働。
かといって、垂れてしまうほど大量の塗料を一度に塗ると仕上がりが汚くなるだけでなく、顔にかかる危険もあります。
ミケランジェロは天井画を描く過程でペンキが目に入り、それが原因で失明したという説もあります。
現代の塗料も、わずかではありますが人体に有害な物質が含まれており、取り扱いには充分注意する必要があります。

軒天の塗装を難しくしているもう1つのポイントとして、「高所での作業」も挙げられます。
1階部分、2階部分も、作業ははしごや足場を組んでおこなわなければなりません。
慣れない高所で上を向いたままという不安定な姿勢で作業をするのは、転倒の危険性もあり、おすすめできません。
メンテナンスが思わぬ事故を招くことのないように、高所でも不安定な姿勢のまま作業できるプロの業者に依頼するのが、安全といえるでしょう。

まとめ

普段目につかない軒天ですが、劣化を放置しておくと住宅全体がリスクにさらされてしまいます。
シミだと思っていたものが、屋根裏の内部まではびこったカビだった、雨漏りが家屋全体を傷めていた、というケースも珍しくありません。
普段は気にならない場所だからこそ、気づいたその時に適切なメンテナンスを施し、家屋を快適に保ちましょう。