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施工事例

外部建具も美しくよみがえりました(神奈川県南足柄市)

はじめに

このたび外壁塗装のご用命をいただいたA様邸は、和風住宅の趣を大切にした建物となっています。
特に玄関や窓などの外部建具はそれが顕著です。
玄関は近年では稀有な昔ながらの引き戸ですし、また掃出し窓のサッシには、光を採り入れる上窓があります。
さらに雨戸の鏡板(戸袋の表面)などは、和の格調を感じさせる格子柄が施されたものとなっています。
またバルコニーは、その両端が袖壁づくりとなっており、この建物の風格を高めるものとなっています。
建てられて20年近くになるそうですが、この度、2回目の外壁塗装を行われることになりました。
格調の高い建物だけに、それに劣らない塗装を行わなければなりません。

Before

建物は、東南道路の角地に立つという恵まれた立地条件です。
外壁にとっても、また家全体にとっても良い条件となっています。
日照と通風に恵まれていますから、壁にコケやカビが発生しにくく、また雨風によって自然に洗われることにもなるからです。

ところが、日照と通風が良いということは、同時に、自然の過酷さにさらされやすいことにもなりますので、その分、劣化も早いものとなります。
いずれにしても定期的、かつ早目の外壁塗装が必要です。

After

元々が高品質の外壁を使っておられるので、下地調整もほとんど必要なく、塗装は順調に進展しました。
そして玄関や雨戸など付帯部分の一部は、品質の高いサッシを使っておられるので塗装の必要がありませんでした。
20年も経つと、たいがいは雨戸の塗り替えなどを行う必要があるのですが、このA様邸の場合は大丈夫でした。

ただひとつ、右の隣家との間隔が狭かったことが工事の難易度を上げてしまいました。
でもそこは経験の豊富ないえふくですから、問題なくクリアできました。
できあがったA様邸は、東南が道路に面していますから、たいへん見映えがします。
その分、やりがいも感じました。

施工手順

足場設置

まず足場を掛けます。そして養生ネットでその周りを囲みます。
このA様邸の場合は、周りが道路に囲まれているので近所への迷惑がかかりにくく、ネットは必要ないのではないかと思われかもしれませんが、工事には、まれに予想を超えた事態が生じる場合があります。

例えば、近所の幼子が面白がって近づいて来て、こちらに過ちがなくても、状況でケガをさせてしまうことが起こるかもしれません。
念のためにしっかりとした安全確保は必要です。

高圧洗浄

最初に行われるのが外壁の洗浄です。
高圧洗浄機によって行われますので、それまでに付着していた頑固な汚れは、その強烈な噴射によって洗い流されます。
汚れだけではありません。
壁の表皮には、劣化した塗膜が残っています。

例えば、外壁面を手で擦ってみると、チョークがついたように指に白い粉の付く場合があります。
それを専門用語で白亜化現象またはチョーキングと呼んでいますが、塗装が劣化し粉末化した証拠となっています。
それらを残したままで塗装はできません。
文字通りに、一切合財を水できれいに流した後に、塗装が行われるのです。

使用塗料

いえふくで使われる塗料は、ウレタン塗料・ラジカル塗料・フッ素塗料の大きく3種類に分けられます。
塗料の耐久性、耐候性また防水性などには、短いもので7年くらいから長いものでは15年くらい持つものがありますが、やはりある程度は価格と比例していると考えて間違いはありません。

いえふくでは、高品質なものをなるべくリーズナブルな価格で提供できるよう努力し、またお奨めしています。
なぜなら長期的に見てお客様に、余計なご負担をお掛けすることのないようにするためです。

つまり高品質であるなら、外壁塗装を行う回数を少なくすることになり、長い目で見た場合に足場費用などでコストを抑えられることになるからです。
例えば足場代ですが、耐用年数が7年くらいの塗料であれば、15年間に足場を2回掛けて塗装を行うこととなりますが、耐用年数が15年くらいの塗料であれば、それが1回で済むことになり、1回分の足場費用が節約できる理屈となるからです。
これは単に足場代のみならず、他の工事内容コストについても、同様の意味での合理性を示す結果となっています。

養生作業

この外壁に備えられた扉や窓の建具類は高級品となっています。
それだけに20年近くを経た今でさえほとんど劣化がないため、塗装の必要がないようです。
ですから、塗装工事の最中にそれらを汚さぬよう、また傷を付けないように気を配る必要があります。

そこで扉や窓などの開口部には養生が必要です。
この場合の養生とは、そうした箇所に、半透明で薄手のビニールシートなどを被せて、対象を保護する意味となっています。
本来ならこの言葉は、人の身心をいたわる時や面倒をみることの意味で使われる言葉ですが、建物の工事に関しても同様の意味合いとなっています。

コ-キング

車の塗装をご覧になったことがありますか?
車の板金工場などでは、塗装の前にボディの不具合をまず補修してから―例えば凹んだ箇所にはパテを施し、またサビたところにはさび止めをして、整えてから塗装を施すものとなっています。

家の外壁もそれと同じです。ひび割れたところや、金属部分でサビたところがあったなら、あるいはコーキングやパテに不具合が生じていたなら、それらを新しいものに取り換えるか、もしくは補修して、そこで初めて塗装を行うことになります。
そうでないと、塗装は単なるあら隠しや誤魔化しに堕してしまう結果となるからです。
下地調整はその意味で塗装することよりも大切です。

下塗り

きれいに洗浄された外壁の下地に、まず粘着力の強い塗料が塗られます。
シーラーもしくはプライマーなどが代表的となっています。
粘着性のあるものが必要なのは、次に塗られる塗料の密着性を高めるためです。
その第1回目の塗装を「下塗り」と呼んでいます。

中塗り

次に行われるのが「中塗り」となります。第2回目の塗装です。
2回目というより、二重目という呼び方のほうが、物理的な見地からすれば適切かもしれません。
つまり塗装の塗膜を2回分塗り重ねるということです。
そのことによって塗装の効果は倍加し、耐候性、耐久性、防水性、また耐褪色性などを高めます。

塗装を終えた後に、ある人が言いました。
「塗装をしたら、何となく家の中が温かくなったみたい」と。
まさかそんなことはありません。
1回分の厚さがコンマ何ミリにもならない世界ですから、それはあり得ないでしょう。
けれども感覚的には同意できる感想、もしくは感覚ではないでしょうか。

上塗り

3回目の塗装を「上塗り」と呼んでいます。
最後の塗装となっています。
仕上げの塗装ですから、とても丁寧に塗られます。
この上塗り塗料をよく見ると、中塗りの塗料とは多少色が異なっています。

なぜそんな違いが必要なのでしょうか。
理由は塗り残しを防止するためです。
人間の本能的な感覚とは素晴らしいものですが、いえふくでは、それが必ずしも完全でないことを謙虚に受け止めています。
言うまでもなく人間は誰もが間違いを犯します。
本来が不完全だからです。

また、平面の塗装は単純な作業ですから、色を変え、塗り残し防止策がある方が塗装職人にとっても安心感からミスが減ります。
壁の塗装はこれで3回目となりました。
この段階で塗装は三重となり、「完璧」となりました。

仕上がり

付帯部位の塗装

軒天

軒裏天井の塗装です。
外壁と同じ塗料を使用しました。
見上げない限り普段は見えない箇所ですが、一切の手抜きは無しです。
濃い色で塗装された雨樋の色を際立たせています。

霧よけ

霜除けの塗装は、屋根が板金ですから、まずはさび止め塗装を行ないます。
そしてそれが乾いたのちに仕上げの塗装を行います。

換気フード

換気フードも板金製ですから、まずさび止めを行ってから、仕上げ塗装を行ないます。

軒樋と縦樋

軒樋と縦樋の塗装です。塩化ビニール樹脂製ですが色褪せています。
これらも塗装によって新品のような色艶を取り戻します。

玄関柱

木製の玄関柱も色あせています。
これには木の本来が持つ素地を生かせるように、半透明のニスを塗ります。
すると新築時のような色艶が戻ってきました。
玄関屋根を物理的にも意匠的にも支えている大切な柱です。
引違いの和風玄関戸とも良く似合っており、和の趣がなおさらに活きてきました

まとめ

良い外部建具をお使いのA様邸ですから、その格式の高さを失わないよう良い塗装を行わなければなりません。
外壁の塗装をしっかりと仕上げることによって、今回は手を掛ける必要のなかったそれら外部建具さえも、ふたたび美しくよみがえった雰囲気となりました。
その意味で壁と外部建具は一体であり運命共同体でもあって、共に家を守るもの、また飾るものとなっています。

現在のサッシ製品は、メーカーの日々の努力と研鑽によって日進月歩。
より良く仕上げられているので劣化度は低いですが、だからといって外壁塗装の手入れを怠ってはなりません。
それら外部建具との同調また協調が要求されるのです。
家の外壁は、そうしたバランスの良さを保つことによって、いつまでも美しくまた堅牢に保たれるのです。