施工事例
ALC外壁の塗装事例(神奈川県座間市)
はじめに
このたび外壁の塗装工事を行われたS様邸の外壁は、とても高級な外壁材です。
外壁材の種類には、モルタルや金属あるいは窯業系のサイディングや、タイルなどがありますが、それらは比較的肉厚の薄い外壁材です。
S様邸のそれは、厚さが数センチにも及ぶ肉厚肉太の外壁となっています。
ですから、季節の暑さや寒さから、また直射日光や雨風などの厳しい自然条件から、しっかりと守られています。
ある小太りで健康的な女性がこう言いました。
「あたしは大丈夫だよ、肉襦袢でしっかり守られているからね」。
確かにそうかもしれません。
体が厚い皮下脂肪にしっかりと守られているなら、多少の寒さや乏しさも、すぐには堪えないかもしれません。
けれどもまさか裸で過ごすわけにはいきませんから、体温を保ち、またケガや事故から身を守る、外衣と内衣そして下着が必要なのです。
家もそれと同じです。
いくら肉厚肉太の外壁でも、下着と内衣と外衣を重ねる塗装は絶対に必要です。
家は、それによって厳しい自然条件から守られまた着飾れるからです。
ではS様邸の外壁には、どのような衣(塗装)が施されたのかを見てまいりましょう。
Before
S様邸の外壁は、日本でも大手の建築資材会社・H社で製造されている特に優れたALCと呼ばれています。
ALCは、その主成分が、珪石、生石灰、石膏、セメント、アルミニウム粉末などで合成され、高熱と高気圧で凝固され、高圧蒸気で養生されたもので、軽量の気泡コンクリートとなっています。
そのため、耐候性、耐火性、遮音性、断熱性、防音性に卓越しており、少なくても60年以上の耐久性が保証されたものとなっています。
そのため、他の外壁材のように10年ごとのメンテナンスは必要ではありません。
けれども10年ごとの塗装は必要となっています。なぜならいくら優れた外壁であっても、いたって健康な人さえが着衣でその身が着衣で守られているように、それを塗装で守らなければ、せっかくの耐久性も台無しになってしまうからです。
ご覧の写真は一階の外壁ですが、築10年を経て、色艶が褪せています。
その色の褪色は、直ちに外壁性能の劣化を意味するものとなっています。塗り替えが必要です。
After
塗り替えの完成です。外壁はすっかり元の色艶を取り戻しました。
この塗装によって守られるのは元の肉厚肉太の外壁です。その外壁が持つ耐候性、耐火性、遮音性、断熱性、防音性など、その総てが守られることになります。
人が体に下着や内衣や外衣を付けて素肌を守るように、外壁の素地も「下塗り」、「中塗り」、「外塗り」という三重の塗装によって守られるのです。
「あたしは、肉襦袢を着ているからね」などという強がりを真に受けてはなりません。
家のお肌も意外とデリケートなのです。
それではこの素晴らしい元の姿を取り戻すまでのプロセスを見てまいりましょう。
施工手順
足場設置
まず足場が組み立てられました。
そして塗料の飛散防止ネットが張られました。
もちろん工事には足場が必要であり、また近所迷惑の配慮から養生ネットも必要です。
そしてやがてこのネットが取り外されると、そこには新調の洋服で着飾ったS様邸が再び登場してきます。
他事ながら楽しみです。
高圧洗浄
外壁は、長い間の勤めですっかり汚れています。
ホコリやゴミだけではありません。
場所によってはコケやカビなどが生えていることも珍しくありません。
それらを事前に除去しないと、外壁は早く痛みますし、また塗装が完全に乗らなくなります。人も汗と脂にまみれた体に、新しい着衣をまとったところで何の意味があるでしょう。
そのように外壁も人も、まずはその素肌をきれいにしてから新しいものをまとうように心がけましょう。
養生作業
塗装の前に、塗装しない箇所や、また後で違う色に塗る部位や、塗装で汚れてはならないところに、塗料の飛び散りなどを防ぐための養生を行ないます。写真は玄関や窓に、薄手のビニールシートを被せて養生した場面となっています。
養生はこのほかにも、ベランダやバルコニー、プランターボックスや雨戸、空調の室外機や給湯器などにも行われます。
きれいに仕上げるための大切な作業です。
コーキング
塗る前に外壁下地の調整を行います。
壁にクラックやひび割れなどの欠損があったり、壁のつなぎ目や窓の周りのコーキングが劣化していたり、また空調室外機のホースのパテが割れていたりした場合は、それらを補修する必要があります。
雨風はそこから侵入して被害を拡大させるからです。
その作業を、「下地調整」と呼んでいます。
いくら良い塗装をしたとしても、下地調整がしっかり為されていなければまったく無意味となるからです。
使用塗料
人の被服に高級なものからそうでないものまで色々あるのと同じように、塗料にも、耐久性の高い高級品から、比較的、耐久性の短いものまで大きく分けて3種類くらいあります。
耐久性の高いものなら12年から15年くらい持つものもあれば、8年から12年ほど持つくらいの中級品もあり、また低いものなら6年から8年くらいとされています。
ここの写真で示されているように、いえふくは最も耐久性に富んだ高級な塗料を厳選して、それをお奨めするように心掛けています。
幾分高めになるかもしれませんが、長く色艶と性能を持たせますし、飽きがきません。
人の着るものと同じです。古くなっても愛用している洋服、結局お得です。
下塗り
場面は、1階壁と2階の壁の「下塗り」となっています。
ペンキの種類は、外壁の下地と仕上げに塗られるペンキを密着させるためのプライマー、またシーラと称される粘着性に富んだ塗材となっています。
人の着衣でいうなら下着に相当するかもしれません。
素肌を守ると共に、その下着の上にまとう内衣をよりきれいに見せるために補正するからです。
これをしっかりと塗ることによって、その次に塗られる中塗りを安定させるのです。
中塗り
下塗りの次は「中塗り」です。
中塗りは下塗りが十分乾いてから行われます。
もしそうでなければ、別々の塗膜を作ることにならないからです。
人が下着によってきれいに体形を補正されていないと、内衣をより魅力的に見せるようにまとうことができなくなるのと同じです。
そのように、別々の塗膜を作ることによって塗装の性能を高めます。
外壁の性能はその塗膜によって守られるからです。
上塗り
中塗りが乾燥したら、いよいよ仕上げのペイント「上塗り」です。
これが3度目の最後の塗装となります。
それによって塗膜が三重となり、外壁の性能はより高まります。
そして性能だけでなく、さらにその美観をも高めるのです。
美観については、下着や内衣よりも、やはり人目に着くのは外衣でしょう。
家の壁もそれと同じで最後の仕上げ塗装こそが大切で、それによってセンスアップを図るのです。
クㇲ!と笑われるかもしれませんが、少し太っている家なら濃い目の塗色で、また痩せている家なら明るい塗色とするなら、良いバランスがはかれるかもしれません。
仕上がり
外壁塗装が完了しました。
外壁が新しい洋服に着替えられた格好となりました。
もともとが優れた外壁だけに、出来映えも見事です。
付帯部位の塗装
塗装は外壁だけではありません。
出窓や勝手口の屋根、また基礎周りの水切り板金なども防さび塗装を行うと共に、仕上げ塗装を行ないます。
外壁がいくらきれいになっても、そうしたところがそのままであるなら、外壁の塗装の魅力が半減します。
それらの塗装面積は全体の10%にも及ばないものですが、あなどるなら、全体の美を半減させてしまう力があります。
そうした小さくて細かな部分までも大切にするなら、外壁の美しさと性能は倍加することになるでしょう。
おしゃれをしたきれいなご婦人が、その美しさを、きらめくネックレスや指輪、またピアスやイヤリングなどの「小道具」で飾ることによって、それを倍加させているのと同じです。
まとめ
いかがでしたか。
見事な塗装の仕上がりに感心されたのではないでしょうか。
人は時に、自分の体力と健康に自信過剰となって、つい油断してしまうことがあります。
そんな時は思いがけずに風邪を引いたり、病気になることさえあるかもしれません。
肉厚で肉太な人が、寒さに対してつい油断してしまうのと同じです。
自信過剰にならず、必ずその着衣を整えましょう。
そうすることによって健康は維持されるからです。家もそれと同じです。
このS様邸のように、他の追従を許さない数センチもある外壁でさえも、それが塗装で守られなければならないのと同じです。
家の性能と美を守ること、それはひとえに、塗装を行う職人の腕にかかっているのです。